世界最速vs.世界最強、勝つのはどっち!? 青山剛のランニングナビ

青山剛

【写真:ロイター/アフロ】

 先月、中国・北京で陸上の世界選手権が開催されました。私もイチ陸上ファン、そしてランニングコーチとしての勉強も兼ねて、毎日にようにテレビで観戦していました。どの種目でもさまざまなドラマがあり興味深く見ていましたが、やはり気になったのはマラソンや長距離種目です。

 オリンピックや世界選手権の場合、短距離種目に比べて、長距離種目は持ちタイム(ベスト記録)の速い選手が勝ったり、メダルを取る確率は低いように思えます。いわゆる「世界最速」がなかなか勝てず、「世界最強」が勝つ、というわけです。その理由の一つは、オリンピックや世界選手権の場合「記録より順位」が重視されることが挙げられます。

 世界最速=持ちタイムが一番速い選手の場合、その好記録を出したレースは、だいたい好条件、しかもはじめから記録狙いの「ハイアベレージで一定に近いペース」で走っている場合が多く、ペースのアップダウンや揺さぶりなども少ない中での記録が多いのです。

 しかし、オリンピックや世界選手権の場合は、記録より順位重視ですから、予選から駆け引き、揺さぶり、そしてラストスパート合戦などがあり、特に決勝は記録をまったく気にしない、まさに「競争」になります。従って、いくら持ちタイムが良くても、こういったレースで戦える能力がないと、タイトルがかかった順位合戦には勝てないのです。

 私は元トライアスロン選手、現コーチでもあるので、自転車レースも好きでよくテレビなどで見るのですが、この自転車レースに例えると、もう少し分かりやすいかもしれません。

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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