世界最速vs.世界最強、勝つのはどっち!? 青山剛のランニングナビ
【写真:ロイター/アフロ】
オリンピックや世界選手権の場合、短距離種目に比べて、長距離種目は持ちタイム(ベスト記録)の速い選手が勝ったり、メダルを取る確率は低いように思えます。いわゆる「世界最速」がなかなか勝てず、「世界最強」が勝つ、というわけです。その理由の一つは、オリンピックや世界選手権の場合「記録より順位」が重視されることが挙げられます。
世界最速=持ちタイムが一番速い選手の場合、その好記録を出したレースは、だいたい好条件、しかもはじめから記録狙いの「ハイアベレージで一定に近いペース」で走っている場合が多く、ペースのアップダウンや揺さぶりなども少ない中での記録が多いのです。
しかし、オリンピックや世界選手権の場合は、記録より順位重視ですから、予選から駆け引き、揺さぶり、そしてラストスパート合戦などがあり、特に決勝は記録をまったく気にしない、まさに「競争」になります。従って、いくら持ちタイムが良くても、こういったレースで戦える能力がないと、タイトルがかかった順位合戦には勝てないのです。
私は元トライアスロン選手、現コーチでもあるので、自転車レースも好きでよくテレビなどで見るのですが、この自転車レースに例えると、もう少し分かりやすいかもしれません。