リアファルは最後の一冠狙える器 音無調教師に聞く芝転向の真相と手応え

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展開の利を得たわけではない

初芝のマレーシアCを快勝、この勝利で菊花賞出走を決断したという 【netkeiba.com】

 7月18日、中京・芝2000mのマレーシアC。

 逃げて3着に敗れた前走の結果を踏まえ、ここでは逃げない競馬を試そうか、という話も挙がっていた。しかし、二の脚の速さで自然とハナを奪うと、雨の残る重馬場の中1000m通過1分4秒3のスローペースに落とし、逃げ切った。

 負かした相手には、小倉記念勝ち馬アズマシャトルや、同レース1番人気マローブルーなどがいた。

「スローペースと馬場が緩いのが味方したかな、と感じました。4コーナーを回る時に横一線になったので、瞬発力のある古馬にやられるわって思いながら見ていたら、一番瞬発力があったのはリアファルでした」

 ここで、音無師は決断した。「マレーシアCで芝の走りが良ければ、菊花賞に出走させようと決めていました。ダートでそれなりに賞金を加算できていましたからね」。菊花賞の3ヶ月前だった。

 ところが、トライアルの神戸新聞杯に臨むにあたり、不安をぬぐい去ることができずにいた。「2400mの神戸新聞杯で、マレーシアCのように逃げる戦法で通用するかな、と」

 レース前「行く馬がいたら、行かなくていいよ」と、音無師はルメール騎手に言った。「スタートしてから全然追っていなかったのに、じっとしているだけでハナに立ってしまいましたね」。神戸新聞杯でも1000m通過1分2秒4のゆったりとした流れに落として逃げ、直線でさらにひと伸びして、勝利した。

「展開にも恵まれたと思いますが、後方から追い込んできた馬も3着に来ている。リアファルだけが展開の利を得たわけではないと思うんです」

ダート経験の強み

3000メートルにも自信、「最後の一冠を狙えるところにきた」 【netkeiba.com】

 有力馬の1頭として、菊花賞に向かう。

「みなさんもそうだと思うのですが、今でも半信半疑なんです。芝の2戦とも逃げてスローに落として、瞬発力勝負で勝ったでしょう。菊花賞では、ほかの馬が先に行くなら行かせてもいいと思っているんです。ただ、それでハイペースになったらどうかな、と。どのポジションにいるかにもよりますがね。瞬発力勝負にさえなれば、そこそこやれると思っています」

 リアファルには、3000mの距離に対して、他の馬が持っていない強みがある。

「芝向きの馬なのに、本来適性はないかもしれないダートを走ったことで、パワーやスタミナがついたのかな、と思っています。ダートを使っていたからといってダート馬っぽい体つきになることはなく、芝ダート兼用の、ゴールドアリュールみたいな感じですかね」

 ルメール騎手も神戸新聞杯後に笑顔でこう語っている。「ストライドが大きい。スタミナがあるので、菊花賞の距離も大丈夫でしょう」

 砂の猛者たちとの戦いで身につけた力を、淀の長丁場で発揮する日が近づいている。

「1週前追い切りは、ヒストリカルと坂路で行いました。ここ最近坂路は時計がかかっていて52.0-14.0でしたが、その分負荷はかかっています。芝の2戦とも休み明けで勝ちました。今回はさらに使った上積みを見込めますね。最後の一冠を狙えるところにきたかなと思っています」

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