女王の夏休みは、北海道ではなく滋賀県のノーザンファームしがらきで過ごした。早朝は長袖を着るほど涼しく、池江師も毎週様子を見に行くことができる。

「オークスの疲れの回復が手間取った時期もありましたが、途中くらいからいい方向に向かっていきました。春は右の背腰を痛めていたのも、だいぶ解消されました。これとは上手く付き合っていかなければいけないので、スタッフがずっとケアをしていますが、春ほどの痛みはないです」

　迎えた秋初戦・ローズS2着から秋華賞に挑む。京都の内回り芝2000mは、オークスに比べ直線が約200m短くなる。

「出遅れたらダメでしょうね。コース形態は不利だと思います。馬場は、ローズSは緩かったのに対し、京都は硬いので少々雨が降っても大丈夫だと思います。体調は申し分なくオークスと同じくらいいいので、スタートを五分に決めて中団くらいにつけられればいいですね。
　中間も軽くゲート練習はしていますが、賢い馬は練習では何もしません。ワンテンポの遅れは頭数が多くなればなるほど大きいです。この辺は、精神的な不安定さも絡んでいるのではないかなと思います。最近は、カイバをこの馬なりには食べてはいるんですが、たまに半分くらいドサッと残すんです。そういうのが安定してきたら、すべて解消されると思います」

　2年前、ミッキークイーンは1億円で取引された時、セリ場で盛んに鳴いていた。初めての環境、たくさんの人たち、様々な音、すべてに不安だったのだろう。

　しかし、彼女は6万人が見守る中で女王に輝いた。ふたたび大観衆が見守る中で、三冠馬トレーナーが「数年に一度」と惚れた素質を満開に咲かせるか。