山本草太「いつか金メダルを取りたい」 フィギュア期待の星が描く五輪への道筋

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マイペースで暗記系が苦手

――現在高校1年生ですが、1日のスケジュールはどうなっているのですか?

 だいたい朝の6時から朝練があって、その1時間前にはウォーミングアップをしないといけないので、5時にはリンクに着いています。ウォーミングアップを1時間やって、6時から7時40分まで練習しています。その後整氷して、8時からも練習するときがあるんですけど、ないときは学校に1時間目から行っています。8時からあるときはだいたい本郷理華ちゃん(邦和スポーツランド)や新田谷凛ちゃん(愛知みずほ大瑞穂高)たちがやる貸切練習で、2時間ちょっとあるので、そのときは3時間目から学校に行きます。学校では6時間目までちゃんと受けて、16時半に一般営業でグループレッスンがあるのでそれに出て、18時までやります。それから整氷して、貸切で18時20分から19時50分まで練習して終わりです。

――かなりハードスケジュールですね。何時くらいにいつも寝るのですか?

 練習が終わったら帰って、もう21時前くらいには暇な感じなので、そこからはちょっとごろごろして22時半か23時くらいには寝ていますね。朝早いですし。

授業の時間以外の多くを練習に割くハードな日々を送る 【スポーツナビ】

――休みはありますか?

 週7で練習があるので、1日中休みの日はないです。唯一時間があるのは日曜日ですね。日曜日は朝練だけで、午後は何もないんですけど、次の日もあると思うと外に出たくないし、ゆっくり休もうとなって全然遊んだりはできないです。でも別に遊ばなくてもいいかなと思っています。

――自分の性格についてはどう分析していますか?

 スケートに関しては意欲的で「あれやろう、これやろう」と思えてすごく真面目なんですけど、それ以外は……(苦笑)。勉強とかあんまり自分からやろうと思わないんですよね。マイペースな感じです。スケート以外はけっこうだらだらしちゃいます。

――学校での得意な科目と苦手な科目は?

 得意なのは体育(笑)。苦手な科目はテストの点数で言うと、日本史や世界史ですね。日本史と世界史って暗記系じゃないですか。数学なんかは案外やり方が分かっていると解けるし、国語も点数がまあまあいいんですけど、暗記系はやっぱり自分で勉強しないと絶対覚えられない。教科書を全然見ないので点数が取れないです(笑)。

ネイサン・チェンを追い越せるように

――今季は世界ジュニア優勝が目標ということですが、それを達成するためにはどうしたらいいと思いますか?

 本当に昨シーズンよりハイレベルになってきているので、なかなか難しいと思います。優勝は狙っていきますけど、昨シーズン3位だったからそれ以上取れるかと言ったら、そう簡単にはいかない。(ジュニアグランプリシリーズの)米国大会で戦ったネイサン・チェン選手は、シーズン頭からライバルになる存在だと思っていましたが、今回やってみてとてもライバルとは言えない存在だと思っています。あちらもたぶん僕をライバルだと思っていなくて、もっとシニアの選手を意識しながらやっていると思います。とにかくコロラドで戦ったことでいろいろな課題が見つかりました。僕もネイサン選手のように練習からほとんど完璧にしないと、本番でもノーミスの演技はできないと思うので、そういうところを今シーズンずっとやっていき、ファイナルに出られたら、そこでは何とかネイサン選手に「こいつ、やるじゃねえか」と思ってもらえるように頑張りたいです。

――特に意識するのはやはりネイサン選手?

 そうですね。でも他にも上手な選手はいっぱいいます。ジュニアのトップは4回転を最低1種類は持っているので、ネイサン選手だけという考えは全然違うんですけど、僕はきちんとノーミスの演技ができればネイサン選手と戦えるし、1位、2位を争えるんじゃないかなと思います。とにかくネイサン選手に近づけるようになっていけばレベルも上がってくると思うし、ファイナルに出場できたら、今回のような30点ぐらいの点差を縮めて、できれば追い越せるようにレベルを上げていきたいと思います。

――日本の選手で意識する選手はいますか?

 昨シーズンは宇野昌磨君(中京大中京高)を意識して追いつくようにずっとやっていて、僕自身のレベルも上がっていったんですけど、今シーズンはシニアに上がってしまったので、あまり日本で意識するような人はいないです。ほとんど世界に目を向けています。

平昌五輪には絶対に出たい

――将来的に目指すところはやはり五輪だと思いますが、それは平昌なのか、その次の北京なのでしょうか?

 平昌五輪には絶対に出たいです。とりあえず出場が目標ですかね。出るだけじゃだめですけど、出場することをまずは最優先にします。出るからにはきちんとノーミスの演技をしたいです。小さいころからの夢は「五輪で優勝すること」とずっと言ってきているので、いつかは金メダルを取れるように頑張りたいと思います。

――印象に残っている五輪のシーンはありますか?

 やっぱりソチ五輪で世界歴代最高得点を出した羽生君のショートプログラムがすごく好きですね。その前のバンクーバー五輪でも、いろいろな選手が素晴らしい演技をしていたので、それも印象に残っています。

――五輪に行くためのプランは考えたりしていますか?

 今シーズンでジュニアは最後にしたいので、そのためにはやっぱり世界ジュニアで優勝してシニアに上がらないといけないと思います。日本のトップを背負う選手は世界ジュニアを制しているので、そこで優勝しないと一流選手にはなれない。世界ジュニアを取れず来季もジュニアでとなると、平昌を考えたとき、世界の人も「あの子すごいな、五輪に出したい」とは思わない。シニアでも名前を売ってアピールしないといけないと思うので、そういう意味で来シーズンには絶対に上がりたいと思っています。来季シニアに上がっても、その次はもう五輪シーズン。あんまり時間がないので、追う立場じゃなくて1シーズン目から結果を出していきたいです。それまでに4回転を武器にしていかないと戦えないので、頑張りたいと思います。

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――自分のスケートのどういう部分をファンに見てもらいたいですか?

 やっぱり皆さんに評価していただいているのはスケーティングの滑らかさ、ジャンプの質、最近はスピンも上手と言われるので、そういうところをもっともっと伸ばしていったら自分の武器になると思います。表現も今シーズンはすごく意識してやっているので、そういう他の人にはない自分の武器を伸ばしていけたらなと思います。

――将来的にはどういうスケーターになりたいですか?

 う〜ん、将来的にか……。五輪で優勝するとかそういうことしか考えてなかったです(笑)。高橋大輔さんもそうですけど、引退してからも「あの人のスケートをもう少し見たかったな」といろいろな人から思われるようなスケーターになりたいですね。愛されるスケーターというか、印象に残るスケーターになりたいと思います。

(取材・文 大橋護良/スポーツナビ)

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