2冠馬不在の秋、菊花賞を占う 注目は“不当に低い評価”の3番人気?
レベル認定の難しさ
3冠馬、或いは2冠馬が誕生した世代のレベルを考える際に拠り所になるのは、その馬だけが強かったのか、それとも他にも活躍馬が多数出たのか、になります。今年の場合、古馬との混合戦になった夏以降で、重賞に限ると3歳馬が制したのはセントウルSのアクティブミノルの1頭だけ。
3歳の初秋までの結果で、古馬とのレベル差を結論づけるのは早計です。サラブレッドがどのタイミングで本格化するのかは、それこそ世代によって差があるかもしれず、秋になってようやく勝ち馬が出た、という点には注目できるのかもしれませんし。
が、それでも今年は少々寂しい印象もあります。春は良化途上で成長が遅れたものの夏場にメキメキ力をつけた、というタイプがあまり出てこなかった、ということに違いはないからです。
こういうケースでは、春の力関係に変化はないように思えますが、前哨戦2レースを見る限り、今年はそうでもなさそうです。
俄然混戦模様に?
菊花賞本番でリアルスティールの巻き返しはあるか 【写真:中原義史】
ちなみに前記グレード制導入後の2冠馬不在の2度は、93年のレオダーバンがダービー2着から休養明けのセントライト記念3着後に、97年のマチカネフクキタルはダービー7着後、秋になって神戸新聞杯、京都新聞杯(当時)の前哨戦を連勝して臨み、菊花賞を制しました。
対照的な臨戦で、ともに菊花賞では3番人気。そこまでの実績を考えると不当に低い評価にも感じられますが、春の2冠馬の不在によって、必要以上に混戦ムードに包まれた結果、なのかもしれません。
そして今年。1番人気に支持されるのは、前哨戦の勝ち馬2頭ではない可能性が高いです。となると“3番人気”に収まる馬が、もしかすると“不当に低い評価”ということになるやもしれません。
歴史は繰り返されるのか、それとも新しい歴史が作られるのか。
たとえ不在でも、2冠馬が菊花賞に及ぼす影響は、決して少なくないようです。