勝負の大型連休に入る混セ4球団 残り日程に見る「有利」「不利」

ベースボール・タイムズ

ヤクルト・山田は苦手の巨人戦で奮起なるか

逆転でのリーグ4連覇を目指す巨人にとって阪神を得意とするマイコラス(写真)とポレダの助っ人コンビは頼れる存在になる 【写真は共同】

 下位に対する取りこぼしは厳禁だが、やはり直接対決の重要度は高い。広島以外の3球団の成績を見ると、ヤクルトは直接対決で計31勝32敗(阪神10勝12敗、巨人10勝10敗、広島11勝10敗)とほぼ五分の成績を残している。その中で最も多くの対戦(5試合)を残している巨人戦がカギ。リーグトップのチーム打率2割5分8厘を残す燕打線だが、巨人戦ではチーム打率2割2分5厘まで降下。特に対戦打率1割9分7厘の山田哲人の奮起が必要になる。

 阪神は直接対決で計27勝36敗2分(ヤクルト12勝10敗、巨人8勝14敗、広島7勝12敗2分)。ヤクルトには勝ち越しているが、巨人戦ではマイコラス(対阪神5試合0勝3敗、防御率1.50)、ポレダ(同6試合1勝5敗、防御率2.75)の両外国人に苦しめられ、広島戦では前田健太(同3試合0勝3敗、防御率0.41)とジョンソン(同4試合0勝2敗、防御率0.67)に完璧に抑え込まれている。苦手な投手を、最後の最後で攻略できるだろうか。

 巨人は計33勝32敗(ヤクルト10勝10敗、阪神14勝8敗、広島9勝15敗)と通算では互角だが、阪神戦を得意としている一方で広島戦では大きく負け越している。しかし、その広島との対戦は、9月24日(東京ドーム)の残り1試合のみ。気分的には随分と楽だろう。

各チームがそろえる「エース」と「切り札」

 いずれにしても上位4球団は、残り試合をスクランブル態勢で戦うことになる。特にエース陣には、中4日、中5日での登板が求められる。そして、防御率2点台までが“エースの証”とするならば、今季はセ・リーグで6投手がそれに当てはまり、防御率1.81のジョンソン、同2.00の前田健太、同2.59の黒田博樹の3人の“エース”を擁する広島への期待が高くなる。ただ、現在は4位。ハードスケジュールの中で、ごぼう抜きは可能だろうか。

 巨人には、リーグ3連覇中という経験がある。昨季も9月以降の29試合で19勝10敗のラストスパートを見せ、シーズン終盤の戦い方は熟知している。ただ、防御率1.94のエース・菅野智之が、今季のヤクルト戦で3試合0勝3敗、防御率6.89。この相性の悪さが、最後にどう影響するか。

 一方、阪神では藤浪晋太郎が、今季のヤクルト戦で5試合4勝0敗、防御率2.86の好成績を残している。メッセンジャーも今季のヤクルト戦4試合で2勝2敗、防御率2.86と数字的には悪くない。首位陥落の要因となった“貧打”が、連戦の中で勢いをつかめるか。実戦復帰間近の西岡剛が切り札になれれば面白い。

 そして首位・ヤクルト。エースという面では、小川泰弘が10勝7敗、防御率3.11、石川雅規が11勝9敗、防御率3.45と他球団に比べて見劣りするが、チーム打率、チーム総得点トップを誇る打線に、さらにバレンティンが18日の巨人戦(神宮)から復帰予定。“60発男”が手術から完全復活し、最終兵器として爆発すれば、逃げ切りVへの大きな追い風になることは間違いない。

 残り2週間あまり。各球団が、それぞれの「有利」「不利」を覆すことができるか。夏は終えても熱気は高まるばかり。シルバーウイークと言えども、ファンには休む暇などない。

(文:三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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