4年前は「解説」…廣瀬俊朗が挑むW杯 「最高の仲間と最高の思い出を」

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東芝で示したメンタルの強さと統率力

09年のマイクロソフトカップ決勝で、豪快なトライを奪い、優勝を引き寄せた 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 廣瀬のリーダーシップが広く知られたのは、所属している東芝ラグビー部が苦境に陥った時だった。09年1月、トンガ出身のWTBクリスチャン・ロアマヌがドーピング違反(大麻の成分を検出)で無期限資格停止処分となり、東芝ラグビー部の存続も危ぶまれる事態となった。

 それでも、廣瀬は動揺していたチームをまとめ上げ、2月に行われたマイクロソフトカップ決勝では、三洋電機(現パナソニック)を相手にタックラーを引きずりながら執念のトライを奪い、チームを優勝に導いたのだった。

 驚くべきメンタルの強さと統率力を示した廣瀬。その後、ジョーンズHCの下で過ごした期間は、さらなる成長につながっていた。
「あらゆる面で伸びたと感じています。スピードも、パワーも、メンタルも強くなった。(メンタルは元々強いと評価されていたが)さらに、ですね。このチームでいろいろ経験できて良かったです」

4年前に話していたW杯で勝つ条件

ポジションに関係なく、チームにとって必要なプレーができる廣瀬 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 4年前、日本代表がカナダ代表と引き分け、未勝利でワールドカップを終えた後、廣瀬はこう話していた。
「試合終盤の厳しいところではメンタルの強さが重要になってくるので、タフな試合を経験して勝ち切ることが必要です。例えば今日の試合(カナダ代表戦)で最後に逃げて、逃げて、数字の上で勝っても何か違うと思うんです。タフに勝負して、勝ち切るメンタルの強さが求められてくると思います」

 この時はもちろん、エディー・ジョーンズのHC就任も、廣瀬の日本代表復帰も決まっていなかった。しかし、廣瀬がワールドカップで勝つ条件に挙げていたタフな試合の経験、メンタルの強さはジョーンズHCが求めるものでもあり、この4年間で日本代表の財産となった。

 信念と感情がこもる言葉と、自然でいて特別に見えるふるまい。多くの選手、関係者に尊敬される男は、晴れやかな表情でW杯に向かう。
「最高の仲間と最高の思い出をつくりたいと思います」

(取材・文:安実剛士/スポーツナビ)

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