マーベル・スタジオが、またもや大ヒット映画を生み出した。だが、『アントマン』は、これまでのスーパーヒーロー映画と、かなり違う。ユーモアがたっぷり詰まっていて、何度も爆笑させられる上、ほろりと来るようなシーンも、あちこちに散りばめられているのだ。やたらとダークでシリアスなヒーロー物が増える中、この映画は、スーツを着ると体が小さくなり、ほかの蟻たちを操って戦うという、ちょっとばかばかしいコンセプトを、素直に楽しんでいる。

　主演に選ばれたのは、これまでコメディ映画で知られてきたポール・ラッド。４６歳にして、初めてスーパーヒーローを演じる機会を得たラッドは、肉体作りのために猛烈な努力を行った。昨年、マーベルは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でも、クリス・プラットという意外なキャスティングを試み、大成功している。ラッドは「僕もクリス・プラットと同じアプローチをしたんだ。１年間、楽しいことを全部あきらめたんだよ」と言って笑う。それは決して冗談でも、大げさでもないようだ。具体的な話を聞いてみた。