46歳で『アントマン』のヒーローに初挑戦 ポール・ラッドが行ったトレーニングとダイエット

猿渡由紀

撮影開始の1年前に肉体作りをスタート

【(C)Marvel 2015】

 ラッドにオファーをかけたのは、当初、今作の監督に決まっていたエドガー・ライト。

「新しいことに挑戦したいといつも思ってきたけれど、僕はコメディで知られてきて、この手の映画に出たことはなかった。だから、このオファーを受けて、すごく興奮したよ。」

 自分にスーパーヒーローの役が務まると思ってくれたことが何よりもうれしかったというラッドは、その期待を裏切らないために、イエスと言った直後からダイエットとワークアウトを始めた。撮影準備中、ライトが監督を降板。代わりにペイトン・リードに決まると、脚本の書き換えもあり、思わぬ時間がかかった(脚本の書き換えにあたり、ラッドは脚本家としても雇われている)。だが、それは、体作りのためにより時間をかけられるという利点ももたらしてくれた。

 トレーニングは毎日。

「パーソナルトレーナーについてもらってウエイトトレーニングをやり、同じ日に自分ひとりで有酸素運動をやるとか、時間をかけて、いろいろなことをやったよ。ほかに、タンブリングの専門コーチから、回転や跳躍を学んだし、ジムナスティックの特訓も受けた。上達していく過程は、ちょくちょくマーベル(関係者)にも見せたよ。これなら大丈夫だなと安心してもらえるようにね」

口にしたものは全部記録する

 食事制限も厳しく行った。特定の食べ物を、特定の量、特定の時間に食べて、それらは全部、記録に残したという。砂糖、アルコール、炭水化物は、いっさいNG。

「すごく細かく決められていて、長期にわたって続けるのは不可能なプログラムだ。でも、僕は、この映画のために、1年間それをやった。1年間、僕の人生は、フィットネスを中心に回っていたんだ」

 撮影が終わって、最初に口にしたのは、ピザ、ギネスビール、アイスクリーム。

「ギネスがあんなに美味しいと思ったことはなかったね。とは言っても、バカ食いに走ったわけじゃないよ。正直なところ、そんなに欲しいとも思わなかった」

普段の日も、ワークアウトは欠かさない

【(C)Marvel 2015】

 この経験で得た知識を生かし、撮影後も、正しい食生活と日常のワークアウトは続けている。

「撮影が終わったからといって、前みたいに、好きなものをなんでも食べるというふうには、戻りたくなかった。アイスクリームを食べても、『時々ならいいけど、毎日食べちゃだめだぞ』と自分に言い聞かせている」

 パーソナルトレーナーとのワークアウトも続けている。ニューヨーク在住のラッドは、この日、インタビューのためにL.A.に来ていたが、取材の前にも、少し運動をしてきたそうだ。

「泊まっているのは友達の家で、そこにジムはないから、腕立て伏せとか、腹筋とか、できることをやった。ニューヨークに戻ったら、またトレーナーと日頃の運動をするよ」

『アントマン』の撮影は終わったものの、続編や、ほかのマーベル映画にこの役で出演する可能性もあるため、完全に気を抜けないという理由もある。

「数カ月後にまたアントマンになってもらうから、と言われた時に、すぐまたあの体に戻れるくらいのところにいないとね」

ポール・ラッド(Paul Rudd)

1969年米国・ニュージャージー州生まれ。ハイスクール映画『クルーレス』(95)で注目される。『俺たちニュースキャスター』(2004)をきっかけに、ウィル・フェレル、スティーブ・カレル、セス・ローゲンら人気コメディアンと、コメディ映画でたびたび組むようになる。最近の作品に『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』(13)など。

アントマン

刑務所を出てきたばかりのスコット・ラング(ポール・ラッド)は、娘に会いたくても、元妻の反対で、なかなか会えない。そんな彼に、仲間はまた次の泥棒計画を持ちかける。彼が盗んだものは、奇妙なスーツ。そのスーツを着ると、彼の体は、蟻のように小さくなってしまうのだった。その発見は、彼の運命を大きく変えることに。9月19日(土)2D/3D全国ロードショー公開。

写真:(C)Marvel 2015



「アントマン」予告編- YouTube

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著者プロフィール

月刊女性誌編集者を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビューや映画の撮影現場レポートなどを、日本の雑誌、新聞、オンライン媒体に寄稿する。フィットネスへの関心も高く、渡米直後から毎日ジム通いを開始。ここ10年ほどはアシュタンガヨガに専念しているが、ワークアウトのトレンドはもとより、健康、運動一般に関する新しい情報には、常にアンテナを張っている

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