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FC今治とLDHの結びつき
異色とも言えるコラボレーションの狙い

ダンスもサッカーも才能の有無はすぐに分かる

森専務は、「ダンスもサッカーも『光るものがあるな』というのはすぐに目に入ってくる」とコメント
森専務は、「ダンスもサッカーも『光るものがあるな』というのはすぐに目に入ってくる」とコメント【宇都宮徹壱】

――ここでLDHさんのお仕事というか、ダンスの世界について少しお話を伺いたいと思います。といいますのも、私は本当に浅学なものですから(苦笑)。岡田さんは現在、『岡田メソッド』と言って、日本が世界で勝つための「日本の型」というものを追求しています。日本人には当然、サッカーをプレーする上での長所と短所があるんですが、ダンスの世界でも人種や民族によってリズム感とか身体能力といったものって、やはり影響しているんでしょうか?


 やっぱり身体の特性みたいなところで、越えられない違いというのはあると思うんです。ただ、日本人でも世界に出て活躍しているダンサーの方はたくさんいますから。表現力という意味では、さほどの差はないと思います。


――確かにそうですね。ところで先ほど受付の方で、EXILEのダンスのパフォーマンスの映像が流れているのを見たんですが、会場の雰囲気がスタジアムのように熱狂的でした。日本代表がそうであるように、EXILEという頂点を目指すダンス好きの若者って、今も増えているんでしょうか?


 増えているというか、最近では中学校の授業でもダンスが取り入れられているということも大きいと思います。以前であればクラブとかストリートとかから始まったダンスですが、今ではサッカーや野球ほどではないにしても市民権を得られたように感じます。


――ということは、母集団は確実に増えているわけですよね。そうなると、タレントの発掘は簡単なようで、けっこう難しくなってきているのではないでしょうか? たくさんの無名のダンサーの中から、伸びていく人材をピックアップしていくのって、けっこう大変ですよね?


 どうですかね。数年前に、(LDHの)『三代目J Soul Brothers』のボーカルを3万人の中から2人選ばせていただいたんですが、LDHのアーティストの延長線上ということで選んでいくので、意見が大きく食い違うことはあまりないですね。違うタイプの才能が出てきた時は、違った形でデビューすることもあるんですけれど。でも、審査員の意見がバラけることって、ほとんどないですね。サッカーでもそうじゃありません? ずっと子どもたちを見ていたら、その時に輝いている子は、わりとすぐに分かると思うんです。


 サッカーでもそうだと思うんですが、ばーっといっぱいいる中で「こいつうまい!」とか「光るものがあるな」というのは、けっこうすぐに目に入ってくるんですよね。『EXILE CUP』も、全部の試合に行けているわけではないですが、予選をずっと見ていると光っている子は僕でも分かりますね。そういう子がいるチームは、自然と応援したくなってしまいます。僕も昔サッカーをやっていましたから、やはり気持ちが入ってしまいますね。

四国リーグで商売しようとは思っていない

――LDHさんがFC今治とコラボできることとして、具体的なことを挙げるならば、今治でダンスのスクールをすること、試合会場でのイベント、あとは物販に関するアドバイスがあるかと思います。この他に、現時点ではどんなことをお考えでしょうか?


 LDHは基本的に、来ていただいたお客さんに喜んでいただくことを第一に考えています。ですので、サッカー以外のところ、サッカーの人たちでは考え付かないような発想をご提供できないかと思っています。


――では今後、今治でのプロジェクトを通して実現したいことは?


 LDHっていう会社自体が「人ありき」なんです。EXILE自体、さまざまな出会いがあって今の姿があるわけですから。岡田さんとの出会いにしても、これを大事にしながら、まずは岡田さんを盛り上げることを一番に考えていきたいと思っています。岡田さんが思い描く夢を共有しながら、僕たちも少しでもその力になれればいいかなと。


――なるほど。それにしても、この岡田監督の人を巻き込む力って、いったい何なのでしょうかね(笑)? 森さんも巻き込まれた一人だと思いますが。


 まあ(笑)。純粋に、尊敬できる方ですよね。ひとつの信念を貫きながら、それでいて駆け引きというものを感じさせない。あえて言えば、ウチの社長のHIROとは、そのあたりで共通点があると思います。あと、アイデアマンというところでも。

FC今治の新体制発表会見にはEXILEのメンバーである白濱亜嵐(左)も登場。森専務は「岡田さんが思い描く夢を共有しながら、僕たちも少しでもその力になれれば」と語る
FC今治の新体制発表会見にはEXILEのメンバーである白濱亜嵐(左)も登場。森専務は「岡田さんが思い描く夢を共有しながら、僕たちも少しでもその力になれれば」と語る【写真は共同】

――正直、どういった立場であれ、岡田さんと仕事するというのはすごく大変だと思うんですよ。でも大変だからこそ、みんながついていくじゃないですか。


 何かやりたくなるんですよね。『岡田メソッド』を作ることにしても、新しいビジネスモデルを作ることにしても、それが今の日本サッカーに必要だから岡田さんはやられていると思うので、しかもそれを今治から発信しようとしているのがすごいと思います。


――ビジネスモデルとおっしゃいましたが、その点に関して御社は何かメリットは考えていますか?


 ビジネスのメリットといっても、今は四国リーグですから商売しようとはまったく思っていないし、それができる人がいたら、たぶん天才ですよ(笑)。Jリーグに上がっても、なかなか難しいと思います。少なくともJ2までまずは行かないと、ダメなような気がします。


山口 四国リーグは無料開催だし、試合会場も車を何台か置いたら満杯だし、バスも通っていない場所にありますからね。そもそも試合数も少ないですし。


――つまり未来に向けての投資といいますか、一緒に夢を見る楽しさというか、そういう感じですかね。


 どの業界に限らず、ゼロから1にするのって一番難しいじゃないですか。LDHの仕事もそうです。その意味で繰り返しになりますが、岡田さんが今治でやろうとしていることを、LDHにもフィードバックしていきたい。まだ、プロジェクトは始まったばかりです。本当の意味でのビジネスをスタートさせるのであれば、FC今治がさらに強くなって、上の全国リーグで戦えるところまで来てから、ということになると思います。


――御社以外のパートナー企業さんも、おそらく同じ思いなんでしょうね。今日は貴重なお話をありがとうございました。

宇都宮徹壱
宇都宮徹壱

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著はスポーツナビでの連載をまとめた『J2&J3 フットボール漫遊記』(東邦出版)

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