競泳代表がチーム力を発揮できる理由 大きかった精神的支柱としての北島の存在
ずれ始めた『チーム力』の本質
世界選手権の競泳は8月2日から。日本代表はどんなチームをつくり上げるだろうか 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
「チームのために頑張りました」
「チームが支えてくれたので乗り切れました」
アテネ五輪に出場した選手たちに共通していたのは、“自分自身”が世界と戦ってメダルを取る、という意識だ。競泳は個人競技であることが前提にあり、たとえ目標を同じにする仲間であっても、自分と同じ種目の選手には強いライバル意識があり、日本を代表する選手であるという誇りを持ち合わせていた。
強い“個”が同じ目標、同じ信念を持ち、同じ屋根の下に集まることで強い“集団”を作り出す。これこそが、競泳日本代表が掲げた『チーム力』の本質なのである。
自分を支えてくれる仲間の存在や、周囲のサポートへの感謝の気持ちを持つことは大切だ。調子が上がらず、苦しんだ自分を助けてくれたのはチームの存在かもしれない。しかし、仲間で“助け合う”だけでは何も生まれないのが個人競技。先ほどの言葉は、決して間違っていないものの『チーム力』の本質からは、選手の感覚が少しずつずれ始めていることを表しているのではないだろうか。
個人がチームを引っ張り成長する
ロシア・カザンで開催中の世界選手権の競泳日本代表は、中学生から社会人まで年齢の幅が広い。彼らがいったいどんなチームをつくり上げ、翌年に控えたリオデジャネイロ五輪にどんなチームで戦いを挑むのか。8月2日から始まる競泳の結果で、今の日本代表が持つ『チーム力』が見えてくることだろう。