村田透のメジャー挑戦は終わらない 3Aでエース級の活躍、再昇格は近いか
ほろ苦いメジャーデビューも前向きに
インディアンスの先発として念願のメジャーデビューを果たした村田。結果を残せなかったが、現在は3Aでエース級の活躍を見せ、再昇格を狙っている 【Getty Images】
インディアンスの先発として3回1/3で被安打4、失点5(自責点3)。負け投手というほろ苦いメジャーデビューだったが、本人の表情は決して暗くない。初めての経験をあくまで前向きにとらえている。
「あの試合での失敗は、やはりコントロールミスですね。メジャーでは甘い球は確実にもっていかれることをあらためて痛感しました」
このセリフからは、自分本来のピッチングさえできれば、メジャーでも十分にやっていけるという自信を垣間見ることができる。
あの夜の登板後、当初の予定通り即マイナーへ。それでも村田は、その性格がそうさせるのだろうか、その後も淡々と仕事をこなしている。
インディアンス傘下3Aのコロンバスに合流後、中4日で2度先発し、自身が最もこだわるクオリティースタート(先発投手が6イニング以上を投げ、自責点3以内に抑えること)をきちんとやり遂げ、1勝1敗の成績を挙げて前半戦を終えた。そして、オールスターブレーク後の初戦を任されたということは、もはや3Aではエース級である証しである。この試合、村田は7回無失点で7勝目を挙げた。
米国野球の楽しさ味わい、新天地を求める
「引退する気なんてさらさらなかった」
村田は、自由契約を言い渡された時のことをこう語る。新天地を米国に求めたのは、2年目のオフに参加したアリゾナでの教育リーグで米国野球の楽しさを味わってしまったからだ。
一度は経験したはずの米国野球だったが、短期間の教育リーグとは勝手が違った。渡米した日本人投手の誰もが口にする「滑るボール」にまず悩まされた。しかし、ボールの違いを嘆いても仕方がない。気持ちを切り替え、神経質にならないことを心掛けた。また、普段からできるだけボールを持っていたり、練習の際には、あえて手を乾燥させてロージンを使わずに、その状態でも投げられるようにするなど、できるだけ慣れる努力をした。