前半戦“陰のMVP”…中村晃の適応力=鷹詞〜たかことば〜
王会長が中村の「一本足打法」を解説
昨季リーグ最多安打、今季も前半戦で打率3割以上をマークする中村。天性の適応力でソフトバンク強力打線を陰で支える 【写真は共同】
「右足を大きく上げて打ちにいきますが、僕の(一本足打法)より粘り強い。見てもらえれば分かりますが、地面に着きそうになってから腰をグーッと入れて、さらに踏み出していく。時間差攻撃(緩急)を見極めて、ボールとバットの芯を結ぶ。だから空振りが少ないのでしょう」
あの王会長が、代名詞ともいえる「一本足打法」について、しかも自身との比較も交えながら語る。筆者は「王選手」をリアルタイムで見ていない世代だが、それでも鳥肌モノだった。
柳田、松田らの打順固定で安定感
チームもパ・リーグで独走態勢を固めつつある。前半戦ラストカードだった2位・北海道日本ハムとのビジター2連戦(いずれも帯広)を1勝1敗で乗りきり、ゲーム差「3.5」をキープした。3位の埼玉西武には7.5差だ。また、15日には12球団最速で今季50勝。81試合目での到達は、過去10年ではリーグ断トツV(2位に17.5差)を達成した2011年の79試合に次ぐスピードである。
その立役者――いわゆる前半戦MVPは?と問えば、おそらく最も多く名前が挙がるのは柳田悠岐だろう。3番バッターとして全試合に出場し打率3割6分7厘、17本塁打、52打点、16盗塁の成績。その数字もさることながら、柳田のプレーはインパクトが強い。それが彼自身の人気の高さにも直結している。また、選手会長の松田宣浩も成績では負けていない。打率3割3厘、22本塁打、62打点。とても6番打者とは思えないほどの活躍だ。サヨナラ本塁打2発(4月2日オリックス戦、6月11日阪神戦)という勝負強さもまた、さすがのひと言に尽きる。
確かに表立った活躍を見せたのは、ソフトバンク強力打線の中軸バッターたちだ。3番・柳田、4番・内川聖一、5番・李大浩、6番・松田はホークスの鉄板打順。4月14日以降でこの並びが崩れたのはたった2試合のみ。打順は固定して戦う方がチームは安定するし、選手としてもリズムが作りやすい。ホークスの強さの一因がここにあるのは、間違いないところだ。
だからこそ、中村の働きが光るのである。