初のユニバ金に挑む大学侍ジャパン 国際経験を武器に3年計画の集大成へ
田中、浜口の3年生コンビがエースに
NPB選抜戦の快投でさらに自信をつけた田中正義。今大会も3年生ながらエースとしての活躍が求められる 【写真は共同】
中でも田中正義(創価大3年)は3回から2番手としてマウンドに上がると、7者連続三振を含む8奪三振。4回を投げ、1人の走者も出さない完全投球で集まった20,649人の観衆の度肝を抜き、「調子は決して良くなかったが、プロ選手を相手に結果を出せたことは自信になります」と大きな手応えをつかんだ。
最速155キロのストレートに加え、カーブ、フォークなどの変化球でもストライクを稼げるようになった右腕に、善波監督は「(田中)正義が大事な試合で投げることになるでしょう」とエースに指名し、さらなる飛躍に期待をかけている。
また左のエース格には濱口遥大(神奈川大3年)を指名。ドラフト1位候補左腕・今永昇太(駒澤大4年)の出場辞退による代替選出だが、最速150キロの力強いストレートとブレーキの利いたチェンジアップが武器であり、対戦国にとっては厄介な存在になることだろう。
また先発3番手には、柳裕也(明治大3年)、澤田圭佑(立教大3年)、吉田侑樹(東海大4年)の3右腕が候補に挙がる。それぞれ春季リーグでは納得のいく成績を挙げることはできなかったが、ここに来て調子を上げてきている。
さらに中継ぎや抑えには、190センチ左腕・上原健太(明治大4年)を筆頭に、サブマリン投法の高橋礼(専修大3年)や大舞台に強い井口和朋(東京農業大北海道オホーツク)が控え、充実の投手陣となっている。
不振脱出の谷田、長打力に期待!
3年連続で大学代表に選ばれている吉田正。豊富な国際経験もあり、主将の坂本ともにチームの中心的役回りが期待できる 【写真は共同】
東京六大学リーグ通算10本塁打で「高橋由伸2世」とも呼ばれる左のスラッガーだが、今春のリーグ戦で打率1割4分6厘と絶不調に陥った。それでも、善波監督は代表に選出。春に完全に見失ってしまったタイミングの取り方も、徐々に以前の状態に戻ってきており、表情も日を経るごとに明るくなっている。
ここまで挙げた選手以外にも、1番が予想される佐藤拓也(立教大4年)や3番が予想される高山俊(明治大4年)ら左の好打者がずらりと並ぶ。
当然、相手チームは左投手をぶつけてくる可能性もあるが、善波監督は「左を苦にする打者はいない」と信頼を置いている。
今大会は選手登録期限が5月上旬ということもあり、今春に頭角を現した選手は代表に選出することができなかったが、実力と国際経験に長けた精鋭22名は、この大舞台にしっかりとピークを合わせてきた。
大学日本代表史上初の金メダル獲得に向けた3年計画の集大成は、まもなく始まる。