横綱ポルシェ、日本勢は独2強に完敗=ル・マン24時間レース総括

田口浩次

トヨタ、日産はこの悔しさを糧に

日産は2台リタイア。残る1台は24時間を走り切ったが、周回数が足らず未完走扱いとなった 【Getty Images】

 ル・マン現地に訪れた観客数は26万3500人と発表され、昨年過去最高を記録した26万3000人からさらに500人増え、2年連続で記録を更新した。深夜になっても、そこら中に人が溢れ、その数を実感した。まさに初夏の祭りを楽しむ人々の一大イベントがル・マン24時間レースなのだと。

 今回、ル・マン経験豊富なジャーナリストやカメラマンから聞いた声を総合すると、「ル・マンは観客になって楽しむのが、きっと一番楽しいよ。それにレースが好きな人だけじゃなく、朝まで騒いで楽しんで、午前中にサーキットを離れて自宅でチェッカーの模様を見る人も実は多いんだ。人それぞれの楽しみ方がある。自由がある、それがル・マンだね」というものだった。

 偉大な夏祭りは終わった。しかし、あるLMP1クラスに出場するチームのベテランエンジニアが教えてくれたのは、「もう、明日から来年に向けて戦いは始まっています。開発はここからが本番で、年内には車両の設計はほぼ完成して、年明けとともにテストをして開発したマシンのポテンシャル確認作業をします。24時間レースだけど、チームは1年中戦っているのと同じなんです」という事実だ。

 昨年ポールポジションを獲得しながら決勝でリタイアした雪辱を果たすべく、乗り込んだトヨタだったが、ドイツの2大メーカーに打ち負かされた。日産は完走組という部屋に入ることもできなかった。この悔しさを糧に、日本勢は「このままでは勝てない」と、来年に向けて大きく体制を強化していくことだろう。その活躍を願って、楽しみに待ちたい。

2/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント