バックの防御力を発揮したワウリンカ 地元のツォンガを破り全仏初の決勝へ

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地元のツォンガを下し、全仏としては初の決勝進出を決めたワウリンカ 【Getty Images】

 全仏オープンは5日、大会13日目を迎え、男子シングルス準決勝では、スタン・ワウリンカ(スイス)が地元フランスのジョー・ウィルフリード・ツォンガを倒し、全仏オープンでは初めて、グランドスラムでは優勝した2014年の全豪オープン以来2度目の決勝進出を決めた。

 また、第1シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)とアンディ・マレー(英国)の準決勝もう1カードは、ジョコビッチが6−3、6−3、5−7とリードした第4セット途中(3−3)で日没と雨天予報のため順延となった。

 大会第14日目となる6日は、男子準決勝に続き、セリーナ・ウィリアムズ(米国)とルーシー・サファロバ(チェコ)の女子シングルス決勝が行われる予定。

ツォンガの勢いを巧みに制すワウリンカ

最後までワウリンカを追い込んだツォンガ 【写真:アフロ】

 錦織圭を倒し、がぜん注目度が上がった地元のツォンガが、この日も立ち上がりから飛ばした。

 第1セット、相手のサービスゲームは、よく動いてショットを散らし、得意のフォアハンドの決め球で早々にブレークポイントを3本握った。しかし、ワウリンカには平均時速202キロのファーストサーブがあり、片手打ちバックハンドの武器がある。

 片手打ちバックハンドは両手打ちに比べパワーでは劣るが、より広角な攻撃が可能で、長いリーチが取れる。ワウリンカのバックは片手でも威力があり、特にダウンザラインを走るノータッチウィナーが脅威だ。

 その魅惑の一発が飛び出した。第4ゲームのツォンガのサービスゲームで、ワウリンカは0−40からバックの打ち合いを仕掛けた。ツォンガはフォアハンドに比べてバックハンドに難がある。そこを脅しながら徐々に主導権を奪っていく巧みなテニス。バックハンドのクロスへのリターンエースも交えながら4ポイント連取でデュースに持ち込み、2度目のブレークポイントできれいにダウンザラインが決まった。

大声援に包まれるセンターコート

激しい戦いは3−1でワウリンカが制した 【写真:アフロ】

 第1セットはワウリンカが順当に奪ったが、そのまま終わらせないのがツォンガだ。

 第2セット、第1ゲームをいきなりブレークされて後手に回ったが、第8ゲーム、ダブルフォルト2本をもらって追いついた。5−5で迎えた第11ゲーム、2本のブレークポイントをしのぎ、迎えたタイブレークで爆発した。

 センターコートの観客の声援の中、怒とうのように6−0まで持ち込んでセットオール。センターコートは割れんばかりの歓声に包まれた。テニスファンは選手に勝ち負けだけでなく、プロフェッショナルの証を求めている。その求めに応えることで、選手は大きなサポートを確信し、それをエネルギーにする。

 第3セットも、ツォンガはワウリンカを追い込んだ。このセットのブレークポイントはツォンガ6に対しワウリンカは0。しかし、ワウリンカはツォンガのこの猛攻を懸命に交わし、2度目のタイブレークに入ってからは常に先行してこのセットを奪った。

セリーナが風邪悪化 決勝への影響は?

女子決勝を前に、グランドスラム通算20度目の優勝に王手をかけた女王セリーナの体調が気になる 【写真:ロイター/アフロ】

 錦織の4回戦が行われた5月31日のことだ。雨で試合が中断されている時に、一カ所だけ、12番コートに人だかりがあった。ロジャー・フェデラー(スイス)とワウリンカが、強くなる雨もお構いなしにびしょ濡れになって練習していた。

 スイスのライバルは、普段、余り練習をすることはない。2人のこの大会にかけた意気込みが伝わる光景だった。ツォンガの猛攻を交わしたワウリンカの、片手バックハンドの防御力の勝利。3時間46分の激しい打ち合いは、まさに男子テニスの醍醐味(だいごみ)だった。

 続くジョコビッチとマレーの試合は、第1セットの激しいやり取りを制したジョコビッチのペースと思われたが、マレーが2セットダウンから歯を食いしばって反撃。1セットを奪い返したところで、順延になった。この休止がどう出るか……。

 ところで、女子決勝を前に、グランドスラム通算20度目の優勝に王手をかけた女王セリーナの体調が気になるところ。セリーナは、前日、ティメア・バシンスキー(スイス)との準決勝で逆転勝ちした後の会見をキャンセル。この日も練習はせず、コメントだけをマスコミに流した。それによれば、大会前からの風邪が悪化し、悪寒が激しく、パリのアパートで静養しているとのこと。タイトルへの意欲は強く、体調が戻ることを祈っているというメッセージが届けられた。男子の準決勝にしろ、夜が明けてみなければ何も分からない。

(文:武田薫)

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