今季レギュラーを取れなかった吉田麻也 サウサンプトンと契約延長の裏にある想い
ユーティリティー性が評価される
イングランドで3シーズンを迎える吉田。今季はSBをこなすなど、高いユーティリティー性を見せた 【写真:アフロ】
「1年目は本当にがむしゃらにやり、(出番が限られていた)2年目で難しいシーズンを経験した。『何をすべきか』、『どういうプレーをすれば評価されるか』、『どういうプレーをしちゃいけない』など、自分の中でいろいろ考える時間があった。それを踏まえての3年目です」
一方で、吉田のユーティリティー性が大いに評価された1年でもあった。先述したように、サウサンプトンでは欠場者が続出。日本代表DFは、右SBとして2試合(19節チェルシー戦/1−1、20節アーセナル戦/2−0)、左SBとしても2試合(24節クイーンズ・パーク・レンジャーズ戦/1−0、25節ウエストハム戦/0−0)に出場し、不慣れなSBの役割もこなした。「(複数のポジションを)ある程度のレベルでプレーできる選手が控えにいるのは、監督としてすごくやりやすいと思う」と吉田。こうした器用さも高く評価され、今年1月にはサウサンプトンとの契約を3年半延長することで合意した。
世界最高峰のリーグで得るもの
「良いチームで、街もスタジアムも良い。素晴らしいファンもついている」とサウサンプトンに残る理由を語った吉田 【写真:アフロ】
「サウサンプトンぐらいのレベルになると、他のどこかへ移籍しても、CB3人でのポジション争いはどこでもある。現状、サウサンプトンは良いチームで、街もスタジアムも良い。素晴らしいファンもついている。むしろ、(契約延長の)オファーを断る理由がなかった」
課題も見えたが、収穫も多かった。まだまだ満足感はないが、昨シーズンに比べると達成感はあった。SBとして出場することに困惑しながらも、守備陣への評価が高いサウサンプトンの一員として戦うことに誇りも感じた。それらの全てが糧になると、吉田は信じている。
1月のアジアカップ敗退後、サウサンプトンに復帰してすぐのスウォンジー戦。吉田はCBとして先発するも、終了間際にミドルシュートを決められてチームは敗れたが、吉田が試合後にこんなことを漏らしたことがあった。
「一番強く感じたのは、失点のシーンで、プレミアレベルの選手たちは一瞬の隙をついてくるということ。このあたりは、アジア杯では感じ取れないところ。本当に一瞬の迷いが大きな差を生んでしまうリーグです」
吉田が身を置いているのは、世界最高峰とうたわれるプレミアリーグ。そのプレミア初の日本人CBとして、試行錯誤を続けながら、自身の成長を日々追い求めている。