低迷続くアイススレッジホッケー日本代表 パラリンピック出場に向け解決すべき課題
国内における競技力の底上げが必須
キャプテンの須藤悟は、慢性的な人材不足に関して「『よし、やってやるか』という人がいたら、ぜひ声をかけてほしい」と呼びかける 【吉村もと/MA SPORTS】
近年の根本的な低迷の原因は、慢性的な人材不足だと言われている。国内の競技人口はわずか30人前後。そのうち約半数が代表メンバーという異例の構図だ。当然、チーム内での競争原理が働かず、勝っても負けても変化が生じにくい。若手選手の下からの突き上げも少なく、結果として競技力が向上しない。また、練習ができるアイスリンクが全国的に少ないことから、地理的条件がマッチしないと競技を始めにくいという側面もあり、新たな人材の確保と育成は頭打ちの状況だ。
現在、国内には4つのクラブチームがあり、代表選手も原則としていずれかのチームに所属している。年に数回開催する、日本一を決めるクラブ選手権は、本来なら互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、スキルアップする貴重な場となる。実際に、かつてはチーム同士で熱い火花を散らしていた。だが、現在は人数不足で選手のレンタルを行うなど交流戦の色合いが強くなり、観戦していても選手権特有の緊張感を感じない。アイススレッジホッケーという競技を広めていくには、国内における競技力の底上げが必須だ。このクラブ選手権の取り組み方の意識も、一人ひとりが変えていく必要があるのかもしれない。
日本の本気度が試される3年間
日本が平昌パラリンピックに出場するためには、まず次回のBプール世界選手権で上位に入ることが最低条件となる。次にAプール下位チームとの最終予選を戦い、本大会出場が決まるというスケジュールだ。
次シーズンは新たに「Cプール」が設置され、新興国も参戦してくるだろう。アイススレッジホッケーを取り巻く世界の状況は刻々と変化している。それに柔軟に対応しながら、結果を出すことが求められる。具体的な対策案を導き出し、苦難の道のりをどう切り開くか。平昌まであと3年。日本の本気度が試されている。