W杯2次予選、E組に入った日本の展望 日程と対戦国は「悪くない」組み合わせ

川端暁彦

予選の仕組みと概要

W杯2次予選でE組に入った日本。シリア、アフガニスタン、シンガポール、カンボジアと対戦する 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 14日、FIFAワールドカップ(W杯)2018アジア2次予選(アジアカップ2019予選を兼ねる)の組み合わせ抽選会が行われた。日本は、シリア、アフガニスタン、シンガポール、カンボジアと同居するグループEに入った。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「良いグループに入ったと思う」というコメントを残しているが、この指揮官はどんな厳しい組み合わせになっても同じ言葉を発したに違いないので額面通りに受け取るべきではないだろう。それは続けて「対戦相手についてはまだ詳しくは分かりません」と語ったことからも分かる。

 組み合わせについての具体的な話に入る前に、まずは今予選の仕組みについて簡単に説明しておきたい(なにせアジアの仕組みは猫の目のように変わるので)。18年のW杯ロシア大会予選にアジアから参加したのは46の国と地域。まずはFIFAランク下位の12チームが「ワン・オン・ワン」での1次予選を実施。ここで勝利した6チームに、シードされていた34チームを加えた40チームで2次予選が行われる。日本はシード組なので、他の多くのアジア諸国同様にここからのスタートだ。

 2次予選は40チームを5チームずつ8つのグループに分割。ホーム&アウェー方式の総当たり戦を行う。奇数チームのため、全10節で8試合(試合のない節が2つある)となる。各グループの成績上位1チーム(計8チーム)に、2位になった8チーム中の成績上位4チームの計12チームが3次予選(=最終予選)へ進出となる。なお今回からアジアカップ予選も兼ねることとなっており、この時点でアジアカップ2019への出場が確定する。

 3次予選は勝ち抜いた12チームを6チームずつ2つのグループに分けて、やはりホーム&アウェー方式の総当たり戦(10節10試合)を戦って、出場権を争うこととなる。つまりW杯に行きたければ、ここから計18試合を戦い抜かなければならないということ。15年6月に始まり、17年9月まで続く長丁場の耐久戦。各国サッカー界の「基礎体力」を問われる戦いだと言えるだろう。

第1シード国ゆえのメリット

第1シードの日本は6月11日の試合はなし。16日のシンガポール戦が初戦となる 【写真:アフロ】

 もっとも、2次予選を勝ち抜けなければ8試合で終わってしまうわけで、先のことを考えていても仕方ない。まずは6月11日に始まるこの戦いを展望していきたい。もっとも、5チームリーグゆえに、日本はいきなりこの第1節が「試合なし」。日産スタジアムにて強化試合を開催しつつ、各国の全力勝負を偵察できる有利な立場にいる。情報戦でいきなり優位に立てるのは第1シード国ゆえのメリットだと言えるだろう。

 今回の予選でその第1シード(第1ポット)に入ったのは日本のほか、UAE、オーストラリア、中国、イラン、イラク、韓国、ウズベキスタンの計8カ国。カタールに加えて伝統国のサウジアラビアもシード漏れしていたわけだが、何よりタフなアウェーマッチが予想される北朝鮮を避けられたことは大きい。気候的に消耗度が大きい東南アジア勢の中でも力のある国との対戦は避けられた。組み合わせの全体観としては「悪くない」と言っていいだろう。

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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