ホンダの苦悩…熱害と空力のはざまで 問題解決へ、中途エンジニア募集も
アロンソ衝突の原因は突風で決着か
マクラーレン・ホンダは開幕戦でバトンが11位。第2戦マレーシアGPにはアロンソが復帰する予定 【写真:マクラーレン】
そして第2戦マレーシアGPが開催を前に、フェルナンド・アロンソの復帰が発表されると、それに伴って、これまで明らかになっていなかった情報がいくつか表に出てきた。
シーズン前のバルセロナテストで不可解なクラッシュが発生し、アロンソは開幕戦欠場となっていたが、イタリアのスポーツ新聞『ガゼッタ・デロ・スポルト』は、保険会社が180万ユーロ(約2億3600万円)の保険金を支払ったと報じた。この報道により、アロンソとチームの契約金は全19戦計算で3400万ユーロ(約44億5000万円)程度ではないかと推測されている。
しかし、重要なのはアロンソの契約金額ではない。クラッシュ後の入院や、マレーシアGP前のFIA(国際自動車連盟)による英国・ケンブリッジ大学での検査、さらには現地マレーシアでの検査を受けることなどは、こうした保険金支払い手続きのためにも必要な行動だったと発表されたからだ。
チームはクラッシュの原因を突風によるものとして保険会社に申請し、それが認められる形となった。この報道に関連して、チーム代表のロン・デニスは英国のテレビ局スカイの取材に応じ、「これでアクシデントの原因が突風であることを信じてもらえるだろう。いつもバカげた報道というのはあるものだが、一部報道にあった電気ショックなどあり得ない話だ」とコメントしている。
実際に保険金が支払われたことで、何かしらの漏電という可能性はかなり低くなったと見られている。もし、これで漏電が原因であった場合、虚偽の保険金支払い手続きをしたとして、保険会社からチームは訴えられるからだ。ただ、一部ではアロンソがクラッシュ直前にステアリングが重くなったことを思い出した、という報道もある。これが突風によるものなのか、マシントラブルなのかは言及されていない。
開幕戦最下位も悲惨ではない
開幕戦はフルパワーで走れず。ライバルから大きく出遅れたのは事実だが、まったく戦えないレベルではない 【写真:マクラーレン】
真の実力を発揮していない状態での予選タイム差は5秒095。決勝レースでのファステストラップのタイム差は2秒393だった。これを14年開幕戦と比較してみると、マクラーレン・ホンダが置かれた状況をつかみやすい。昨年は予選途中から雨だったこともあり、Q1だけでの比較となるが、14年予選Q1トップはレッドブルのダニエル・リカルド。そこからケータハムの小林可夢偉が3秒499落ち、ロータスのロマン・グロージャンが6秒218落ちだった。そして決勝レースのファステストラップでは、完走した中で比較すると、トップはメルセデスのルイス・ハミルトン。最下位の13位完走だったマルシャのマックス・チルトンが3秒157落ち、11位完走だったザウバーのエイドリアン・スーティルは2秒086落ちだった。
そう考えると、確かにマクラーレン・ホンダはライバルチームに大きく出遅れているが、昨年のマルシャやケータハムほど悲惨でもない。マクラーレン・ホンダという名前があるだけに、その批判も必然的に大きくなってしまったのが現状と言える。