カラダにいい「アート」第三回 生命の不思議を巡る旅に出る

カラダにいい100のこと。

【カラダにいい100のこと。】

<五嶽山真形文>国立歴史民俗博物館 【カラダにいい100のこと。】

 天気の悪い日にはカラダも重くなり、森のなかでは「空気が美味しい」と深呼吸をしたくなる。人のカラダと自然は、深く関係があるに違いない。

 今回は、「自然」に深く関係するテーマを扱うふたつの展覧会に「カラダにいいこと」のヒントを探してみたい。
<DIC川村記念美術館>で開催されている展覧会、『スサノヲの到来――いのち、いかり、いのり』(3月22日で終了)。人と自然の関係の象徴として見出されるスサノヲを、様々な角度から紐解こうとする展覧会だ。

 日本神話に登場する神・スサノヲ。食物を司どる女神を殺害し、人々に農耕をもたらした文化神的側面を持ち、既存のものを原点に戻して新しい世界を開く働きを持っていると言われている。

 例えば、上の「五嶽山真形文」は中国の護符、つまりお守り札だが、国学者の平田篤胤はこれを、言語が生まれる前のプレテキストとして解釈していたという。平田は、幕末の外的脅威や内的動揺に際し、魂の安定こそ危機を乗り越える手段であり、人は死後どこへゆくかという問いを明らかにしなければ魂の安らぎを得ることはできないと考えた。そしてスサノヲが、地上を任された尊い神として捉え直されたのだった。人の魂はどこからどこへ行くのだろうか。この図から何かインスピレーションを得られるだろうか。

 縄文土器に見るスサノヲからその変容、現代作品まで、第七章からなる展覧会。会場となっているDIC川村記念美術館は、隣接するDIC総合研究所と合わせて約30ヘクタールの敷地を有する緑豊かな北総台地の自然に恵まれた美術館。展覧会を鑑賞したあとは、自然散策路を歩いて野鳥や昆虫との出合いを楽しむのもおすすめだ。

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