事故、契約問題…ドタバタのF1開幕 アロンソ欠くマクラーレンの希望は?

田口浩次

アロンソのクラッシュ、原因いまだ不明

テストでクラッシュしたアロンソは開幕戦を欠場。その原因はいまだ不明だが、第2戦での復帰が発表されている 【写真:マクラーレン】

 さて、日本のファンにとって、やはり気になるのはアロンソの状況だ。チームの公式発表では突風によるクラッシュであり、入院した病院の医師たちのセカンドインパクトによる障害を懸念する声を受け入れ、開幕戦欠場を決めた。しかし、一部ではERS(エネルギー回生システム)からの漏電が原因でクラッシュしたのではないか、電気ショックによる記憶喪失があったのではないか、などといった憶測が飛び交った。

 その後、FIA(国際自動車連盟)は合同テストにも全チーム車載カメラの導入を検討するなど、このアロンソに関する話題は沈静化することなく、開幕を迎えることとなった。

 原因はいまだにハッキリと分かっていない。かつて、アロンソのマネジメント契約を担当し、ルノーF1のチーム代表を務め、さらにはアロンソのF1デビューも実現させたフラビオ・ブリアトーレは「非常に奇妙な話だ」として、FIAとマクラーレンに対して「もっと詳細を明らかにするべきだ」とコメントしている。

 ブリアトーレはF1界のボスであるバーニー・エクレストンからクラッシュ時のビデオ映像を送ってもらい確認したという。「送られた映像を見る限り、たいしたクラッシュではなかった。それよりもステアリングに問題はなかったのか、アロンソ自身に血栓障害などの問題はなかったのか。どんなに優れたアスリートであっても、身体的な問題ということはありえる。あらゆる可能性を調べて明らかにするべきだ」と、より幅広い原因究明を強く求めている。

 FIAやマクラーレンに対して強く行動したという点では、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション/F1選手協会)も原因が明らかにならない場合は、レースのボイコットも辞さないという態度を示していたが、それは取り下げている。現時点でハッキリとしているのは、アロンソは第2戦マレーシアGPでの復帰が発表されているということだけ。ブリアトーレによれば、現在ドバイに滞在し、復帰に向けて準備中ということだ。

オーストラリアGPとの好相性に望み

 残念ながらアロンソは欠場することになったが、マクラーレン・ホンダがレースに参加しないわけではない。開幕戦のラインアップは、バトンとケビン・マグヌッセンという、14年のマクラーレンコンビとなった。

 マグヌッセンは昨年デビュー戦のオーストラリアGPで2位表彰台を獲得しており、アルバート・パーク・サーキットとの相性は良い。そしてバトンはオーストラリアGPで過去3回(09、10、12年)勝利していて、現役ドライバーのオーストラリアGP最多勝記録を保持している。バトンのこの記録を超えるのは、4度アルバート・パーク・サーキットを制したミハエル・シューマッハだけだ。

 また、マクラーレンというチームも、オーストラリアGPがメルボルンで開催されるようになってからは、6回勝利を記録(1997、98、03、08、10、12年)していて、これはフェラーリと並ぶ最多勝だ。すなわち、いろいろな不安要素がささやかれているマクラーレン・ホンダだが、開幕戦のオーストラリアGPが開催されるアルバート・パーク・サーキットはかなり相性が良いと言える。チェッカーをしっかり受けるまで、ホンダ・エンジンが走り切りさえすれば、意外と好成績を望めるのではないかと期待してしまう。

 オーストラリアGPは13日、フリー走行から幕を開ける。果たして、マクラーレン・ホンダはどのような戦いを見せてくれるのか。注目のシーズンがついにスタートする。

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