元NFL選手によるヨガと瞑想のクラス 事故によるキャリア断念と新たな出会い

猿渡由紀

愛、辛抱、思いやりが生きる上での哲学

 呼吸法トレーニング、瞑想、ヨガと出会って彼が発見したのは、「自分には辛抱強さと思いやりがなかった」ということ。また、かつての自分は、将来を細かいところまで計画しようとしていたことにも気づいたという。

「自分の未来を決めつけてしまうと、その通りにならなかった時に自信を失うし、怒りが生まれる」と知った彼は、今という瞬間を、愛、辛抱強さ、思いやりをもって生きることこそ重要なのだと学んだ。他人との関係においても、まず大事なのは自分との関係。自分が自分を大切に扱っていなければ、他人を大切に扱うことなどできないのだ。

 その発見は、現役のスポーツ選手にも伝えている。「そもそも、スポーツのパフォーマンスは80%が精神面、20%が肉体面から来る」という彼は、スポーツ選手に、それぞれに見合ったスタイルのヨガを教えるほか、著書も計画中ということだ。

学んだことを自分なりに吸収するのが成功の決め手

【猿渡由紀】

 この日のクラスは、クッションに座ったままできる簡単なヨガの動きと、短い瞑想で締めくくられた。最後に彼は、「聞いたことや読んだことは、あくまで教科書にすぎない。それらを自分なりに吸収し、自分のものとして日常に使っていけるかどうかが決め手だ」と強調した。

 元NFL選手とあって、ミッチェルはとても背が高く、圧倒的な存在感をもつ。それだけに、彼が放つ穏やかなオーラは、対称的で、印象的だ。

 クラスが終わった後も、彼はしばらく生徒たちに囲まれ続けていた。今回のクラスは特別イベントだったが、この反響を見る限り、彼のレクチャーが今後、いろいろなところで開かれることが期待できそうだ。

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著者プロフィール

月刊女性誌編集者を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビューや映画の撮影現場レポートなどを、日本の雑誌、新聞、オンライン媒体に寄稿する。フィットネスへの関心も高く、渡米直後から毎日ジム通いを開始。ここ10年ほどはアシュタンガヨガに専念しているが、ワークアウトのトレンドはもとより、健康、運動一般に関する新しい情報には、常にアンテナを張っている

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