超スピード時代を迎えた箱根駅伝 1区、2区の争いはさらにし烈に
今年もガチンコ対決
青山学院大は10時間50分を突破する10時間49分27秒という驚異的なタイムで優勝 【写真:アフロスポーツ】
またしても5区の重要性を見せつけられる結果になった箱根駅伝だが、今回も見ている側を熱くしてくれたのは、昨年に続く1区の攻防に加えて、2区のエースたちのガチンコ対決だった。
スピードレースへの警戒心
2011年の大会で1区を走った大迫傑(早稲田大)から箱根駅伝の「スピード化」が加速した 【写真:アフロスポーツ】
12年にも大迫が再び登場すると、それに日本体育大の服部翔大(現・Honda)が食らいつくレースに。服部が早稲田大に23秒差の2位になっただけではなく、3位の駒澤大は24秒差、続く東洋大も31秒差にとどめたように、有力校はそろって力のある選手を使うようになった。
そして昨年は3冠を狙う駒澤大が、出雲駅伝(以下、出雲)、全日本大学駅伝(以下、全日本)に続いて3本柱の一人である中村匠吾(当時3年)を1区に起用すると、早稲田大は大迫を、東洋大は主力の田口雅也(当時3年)を、そして日本体育大は服部と並ぶ2年生(当時)エースの山中秀仁を使った。大迫がハイペースに持ち込んだこのレースでは1位になった山中のほか、2位・中村と3位の田口が1時間01分台で走り、明治大の文元慧(当時3年)も1時間02分02秒で続いた。その12秒あとに大迫が、さらに青山学院大の一色恭志(当時1年)も1秒差で続く接戦。上位3人はハーフマラソンに換算すれば、1時間00分台で走っていたことになるほどのハイレベルな戦いを見せた。
今年も、昨年11月の全日本で駒澤大がエースの村山謙太(4年)を1区に起用したことで、各校にもスピードレースになることへの警戒心が高まっていた。結局、駒澤大は村山と並ぶ2本柱の一人である中村を起用。早稲田大はチーム事情からか安定感のある中村信一郎(3年)にしたが、東洋大は実績のある田口を使い、青山学院大も補欠だったスピードランナーの久保田和真(3年)を当日変更で入れた。また明治大も今季好調なスピードランナーの横手健(3年)を起用し、エース格がそろった。
強豪が一瞬のうちに2区へ中継
1区で激しい戦いをみせた横手健(明治大)、田口雅也(東洋大)、中村匠吾(駒澤大)、久保田和真(青山学院大) 【写真:アフロスポーツ】
だがそれだけでは決まらなかった。遅れていた二人が追いつくと、19.7キロ付近で今度は中村がペースアップし、横手と田口が少し遅れる態勢に。さらに中村はラスト1キロからスパートをしたが、久保田が粘りきって1時間02分00秒で中継したトップの中村に1秒遅れ。粘った横手も7秒差で田口は12秒差と、強豪4チームが一瞬のうちに2区へ中継を終了した。