マラソン完走は「歩くが勝ち」 初心者に絶対おすすめのペース配分

青山剛

初心者は「ゆっくり走って、速く歩く」を繰り返すべし

【青山剛】

 それは「ゆっくり走って、速く歩く」を繰り返すペース配分です。この連載で何度か話しましたが、初心者ほどジョギングや大会でのスタート後、ペースが速すぎる傾向にあります。ペースが速すぎるので、きつくなったらペースダウンして、また上げて、を繰り返してしまっていて、物すごく「燃費が悪い=疲れやすい」走りになっています。

 そこでおすすめなのは、とにかく走りはゆっくり、ちょっときつくなったら歩き出すのですが、この歩きをトボトボ歩かず、「早歩き」でつなぎ、また回復して来たらゆっくり走る。これを繰り返すのです。
 以前、あるタレントさんのホノルルマラソンを目指すトレーニング指導、そしてレース本番で伴走の仕事をさせて頂いたことがありました。その方はとてもお忙しく、大会を迎えるまでに皇居1周(5キロ)をやっと走れるくらいまでにしかなりませんでした。

 もちろん、この走力ではマラソンを全部走って完走することは難しく、私は本番の伴走である作戦を立てました。それが「ゆっくり走り+速く歩く」です。本番で走っている時は「ゆっくり! ゆっくり!」と声をかけ、きつくなって歩き出した時は「イチニ! イチニ!」とテンポが落ちないようにずっと声をかけていました。歩いて回復してきたらまたゆっくり走り出すのです。

 その結果、全体の7割を歩いたにもかかわらず、5時間55分で見事完走を果たしました。まさにペース配分の作戦勝ちでした。むしろ40キロ地点手前にある難所の「ダイヤモンドヘッドの上り坂」は、さっそうと歩くわれわれがトボトボ走っているランナーをぐんぐん抜いていく様子は快感でした。

限界まで走ってから歩くのではなく、小まめ小まめに早歩き

【青山剛】

 ポイントは、限界まで走ってから歩くのではなく、小まめ小まめに早歩きを挟むというところです。もちろん制限時間を加味しなければなりませんのでこのペース配分がすべての大会で使えるわけではありませんが、かなり有効な作戦です。

 人が普通に早歩きするとキロ10分前後ペースで進むことができます。初心者の方がゆっくり走るとキロ7〜8分くらいですから、実はあまり変わりません。これを早い段階から織り交ぜるのです。限界まで走ってから歩き始めると、だいたいキロ15〜20分くらいでしか歩けず、しかも立ち止まってしまうケースが圧倒的です。

 私はこのペース配分で多くの方を完走に導きましたので、マラソン初心者の方、トレーニングがうまくいかなかった方はぜひ参考にしてください。 
参考資料:「青山剛のスイッチ・ランニング(高橋書店)」(1月5日発売)
初心者〜初級者が正しい手順でランニングを上達していけるメソッドが満載です!

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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