“UFC3連勝”堀口恭司の活力 釣り+自然=リラックス

長谷川亮

平日は練習、週末は釣り

格闘技の世界最高峰と言われるUFCで3連勝を飾り、日本人初の王座も期待がかかる堀口 【花田裕次郎】

 普段の堀口は都内に住み、所属のKRAZY BEEを中心に出稽古先も回って練習、週末になると空手時代の恩師に指導を受けるため群馬へ戻り、週末は体を休めつつ釣りを楽しむのが基本的なサイクルだという。平日は「大体練習」、そうでない時は「モンハン(モンスターハンター)をやっているんですけど、練習で疲れていて、1時間ぐらいで“もう無理だ”と思って消しちゃいます。ゲームにも集中できない(笑)」とのことで、原点である空手に磨きを掛けるだけでなく、地元帰りはリフレッシュ面でも大きな意味があるようだ。

「今日行くのは近場で一番いいところで、何て言うか、結構ガチな人向けなんです(笑)。子ども用のスペースとかもあるんですけど、そういうガチな人たちが来るところで、他にも釣り堀はいっぱいあるんですけど、“釣らせとけばいいや”みたいなところばかりであまり面白くないんですよね。でも、ここはガチなので、自分は一度来たら朝から夕方までやってます」

 さすが世界最高峰の頂点を目指す超新星、趣味においても遊び半分ではない本格志向、といったところか。

本気の時は1人で集中

本気でやるときは1人で来るという堀口 【長谷川亮】

「本気の時は大体1人で行きます。友だちと行くと話したりしてあまり集中できないので。無心ではないですね、釣れなかったら“どれがいいんだろうな”とか、いろいろ探りながらやってます」

 そう話す堀口の顔は実に楽しげ。以前の取材で釣りに話が及んだ際、勝利した時のように顔をほころばせる様子を見たのがこの取材を打診したきっかけだった。

 そうこうするうち、車は山道を右へ左へと上がっていき、本日の目的地となる釣り堀へ到着。受け付けを済ませ、美味しいですよと薦められた魚の唐揚げを食べながら、堀口が釣りの準備を整えるのを待つ。釣り堀の方に話を聞くと、やはり堀口は常連であるといい、「いつも大きいのを持って帰ってくるし、釣りも上手なんじゃないですかね」と教えてくれ、UFCでの活躍についても知っていて皆で応援しているとのことだった。

 と、ここで堀口が準備を済ませてきて釣り堀へ。まだ始める前であるが、釣りの装備を身につけ目の前に広がる川を目に、すでに十分いい表情をしている。

格闘技にも通じる「違うリアクション」

「他の人がやっているのとは違うアクションをすると釣れるんですよ」とマスをゲット。その真理は格闘技にもつながる―― 【長谷川亮】

 少し写真を撮らせてもらった後でさっそく自由に始めてもらうと、程なくしてまるで仕込んであったかのようにすぐさまマスをゲット。出足快調、やっぱり持ってる男は違います。

 しばらくルアーを投げ入れながら川に沿って歩いていき、やがて池のようになった場所へ辿り着く。ここでは先着の人たちが思い思いに釣り糸を垂れている。堀口言うところの「ガチな人たち」であろう、あたかもキャンプのようにイスや敷物などを用意しており、長期戦の構えにも映る。

“こんなにたくさん人がいるところでやって、果たして釣れるのだろうか”と釣りド素人であるこちらは思うのだが、我らが超新星はここでもルアーを投げ入れる。そして、今度はヤマメがヒット。堀口いわく「他の人がやっているのとは違うアクションをすると釣れるんですよ」とのこと。たしかに、この時周囲の人の多くはリールを巻いていたのに対し、堀口はルアーを静かに浮き沈みさせ、魚の興味を引いていた。人と同じことをやっていては抜きん出ることができない――何だか格闘技にも通じて思えてくる。

最後にも釣り上げる勝負強さ

取材日に40センチの大物を釣る勝負強さを発揮!! 【長谷川亮】

 さらに、この池状スポットで釣りを続けると、堀口の竿がテレビやマンガで見るようにグンとしなり、推定40センチの大物をゲット(魚名分からず)。この取材に合わせたかのように大物を釣り上げるあたり、何だか流石だなと思わされてしまう。

 この日はその後もスポットを変え、何カ所かで魚を求めるも釣果は上がらず。しかしそろそろ引き上げましょうかと帰りがてらルアーを投げると、最後にもきっちりニジマスを釣ってしまうから、なんだか堀口の勝負強さを感じてしまった次第。

 その後は釣り上げた魚を袋に詰めてもらい、着替えを済ませて帰路につく。この日は取材の関係で短めのフィッシングとなったが、「この寒さでこれだけ釣れればいい方じゃないですか。寒いとやっぱり魚もそんなに動かないので難しいし、今日はそんなに時間をやっていないので、それであんなにデカいのが釣れたので満足です」と感想をコメント。貴重なリラックスタイムへの同行となった。

東京の遊びはメンドくさくなった!?

「東京の遊びもメンドくさくなっちゃって」と週末は群馬に戻り、釣りを楽しむ生活サイクルを続けていく 【長谷川亮】

 今後も堀口は同門の試合が入った時など以外、こうして週末帰省して空手の稽古を積み、釣りでリフレッシュするサイクルを続けていくという。

「いつも群馬にいる時はこういう風景を見ていたので、それが東京に行ったら途端になくなるじゃないですか。自分は自然で遊ぶのが好きなので、東京ツマんねぇなと思って、週末はいたくないんですよね。やっぱりこういう静かな自然で癒されます。もう東京の遊びはメンドくさくなっちゃって」

 自分にとって何が必要で、何が大事かをよく分かっている。そしてそれを変えない――週末の釣りに同行し見えてきたこれらのことは、何だか堀口の強さにも繋がっているよう思われた。

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著者プロフィール

病弱だった幼少期にプロレスファンとなり、格闘技ファンを経て2002年に格闘技雑誌編集部入りし、05年からフリーライターに。『スポーツナビ』にはそのころから執筆。病床で何度も読み返したため、『プロレススーパースター列伝』は大体暗記。趣味は下手の横好きでキックボクシングとブラジリアン柔術

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