お風呂博士に聞く カラダにいい入浴法(後編)

カラダにいい100のこと。

【カラダにいい100のこと。】

――お風呂に入る前と後でしておくと良いことはありますか。

「まず、お風呂に入る前に大切なのは水分をとることです。お風呂上がりは水分が10%も失われているという報告もあるので、入浴前にしっかりと水分をとりましょう。お風呂から出たあとは、10分以内にスキンケアをすることをおすすめします。お湯に皮脂も流れていってしまい、お風呂から上がったあと10分もすると入る前より乾燥してしまいますので」

――美容のために気をつけることはありますか。

「すぐにスキンケアをすることと、お風呂にあまり長く入らないことですね。長く入って指がふやけてきた経験はありますよね? あれはミネラルが出て行ってふやけるんです。同じ水でも海は人の体よりもミネラルが豊富なので、長く入っていてもふやけないんです」
――入浴にダイエット効果はあるのでしょうか。

「消費カロリーの面から見ると、あまり効果があるとは言えません。入浴は、ウォーキングの半分ほどのカロリー消費にしかなりませんから。ただ、入浴し体温が上がると、ウォーミングアップをした時と同じく、痩せやすい体になります。ですので、運動の前に入浴すると、より運動の効果が出ます」

――入浴剤は入れた方がいいのでしょうか。

「入浴剤は入浴の効果を高めてくれるので、使うと良いでしょう。また、粉、炭酸ガス、液体と、それぞれ効果が違います。ひとつのお気に入りのものを使い続ける方が多いかもしれませんが、その日の体調に合わせて使い分けるとよりよいでしょう」

 それぞれの入浴剤の効果を石川先生に聞きました。

・粉の入浴剤
効能:保温効果
「主成分の硫酸ナトリウムが体にまとわりついて、ベールをつくるので、保温効果があります。すぐに冷えてしまう、という冷え症の方におすすめです」

・炭酸ガスの入浴剤
効能:血行促進
「炭酸ガスは、あの泡に効果があるのではなく、泡が出切った時に炭酸ガスがお湯の中に溜まっています。炭酸ガスは皮膚を通して血管に入ってきます。しかし人間の体にとっては異物なので、代謝して出そうとします。すると血の巡りが良くなり、血行促進になります。血液が肺まで来ると酸素とガス交換して呼吸時に体外に排出されますので体に残ることはありません。血の巡りが悪く、冷え症、肩こり、腰痛に悩んでいる方には炭酸ガスの入浴剤がいいといえます」

・液体の入浴剤
効能:保湿
「温める効果は基本的にはなく、保湿がメインです。背中など手が届かないところのスキンケアにもなります。そのため、冬に背中の痒みなどを和らげることができます。冬もいいのですが、夏の日焼けあとの保湿にも効果的です」

 入浴は、健康になるために必要な栄養補給、睡眠の効果を高めてくれる、いわば名アシスト役。日頃シャワーだけという方も、しっかりお風呂に入ってみてはいかがでしょうか。

(イラスト/榊原ミドリコ 文章/佐藤麻弥)

■石川泰弘 いしかわ・やすひろ
<株式会社バスクリン>の広報責任者。温泉入浴指導員、睡眠改善インストラクター。「お風呂博士」として温泉や入浴、睡眠に関する講演やメディア出演など、多方面で精力的に活動している。近著に『お風呂の達人(草思社刊)』、『バスクリン社員がそっと教える肌も腸も健康美人になる入浴術26(スタンダードマガジン社刊)』がある。

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雑誌『BRUTUS』が編集するオンラインメディアです。現代を生きる人々の生活の中に、美と健康とカラタづくりのヒントをお届けしていきます。

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