日本馬9頭の勝算、ズバリ分析!=奥野庸介の香港国際競走 展望

JRA-VAN

流れは新旧交代に傾く

前哨戦Vペニアフォビアが新旧交代を決定づけるか 【photo by THE HONG KONG JOCKEY CLUB】

■香港スプリント

 地元代表のラッキーナインとシンガポール6戦全勝のキャリアを引っ提げて香港の前哨戦に挑んだスパラートが国際レーティングでトップの120で並び、G1スプリンターズSを差し切ったスノードラゴンは上から7番目の115。牝馬のストレイトガールは110、リトルゲルダはメンバー中最下位の109だが、牝馬の2頭はセックスアローワンスの4ポイントが加算されるため前者は実質114、後者は113となる。

 本番と同コース、同距離で行われた前哨戦のG2ジョッキークラブスプリントは中団追走から残り200mで抜け出した地元の3歳馬ペニアフォビア(114)が優勝。ラッキーナインは勝ち馬から2馬身半差の5着、スパラートはブービーの13着で試走を終えた。ペニアフォビアはラッキーナインに5ポンド(約2.3kg)もらっての重賞初制覇となったが、香港移籍後は一戦ごとに内容が良くなっており、本番にメドをを立てた。ラッキーナインは、ひと叩きされての上積みと別定戦になって前進確実だが、流れは新旧交代に傾いている。シンガポールの英雄スパラートは前走のレース後に歩様を乱し、ドクターチェックを経て出走にこぎ着けたが、テンションは下がった。

 向正面の半ばからスタートして、すぐにコーナーを回る1200m戦は逃げ先行勢に有利。展開が大きな鍵を握るが、ここは4番枠を引いたB.プレブル騎手のラッキーナインが先手を主張するのではないか。前走の再現を狙って手綱を引き締めるペニアフォビア、昨年のG1香港マイルで2馬身差4着したアイルランドのゴードンロードバイロン(116)、リトルゲルダらが好位追走。ストレイトガールとスノードラゴン、それに初夏の英国で1000mのG1を2連勝したソールパワー(118)は後方で脚をためる。前哨戦(14着)は内に封じ込められ競馬にならなかったエアロヴェロシティ(112)の巻き返しが不気味だ。

◎ペニアフォビア
〇ラッキーナイン
▲エアロヴェロシティ
☆ゴードンロードバイロン
△スノードラゴン
△ソールパワー

海外で強いハーツクライ産駒

海外で強いハーツクライ産駒・カレンミロティックに大仕事の期待 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

■香港ヴァーズ

 過去10年で欧州勢(UAE籍のマスタリーを含む)が9勝と圧倒的優位。昨年はドミナント(国際レーティング119)が地元馬として15年ぶりに優勝を飾って地元ファンの溜飲を下げたが、2400mのスペシャリストが少ない香港馬の不利は否めない。

 レーティングのトップはフランスのフリントシャーで124。今年は勝ち鞍こそないものの、G1凱旋門賞でトレヴの2着、その3週後のG1BCターフでも2着と高いレベルで堅実な走りを続けている。ここも大崩れはなさそうだ。レーティングでこれに次ぐドミナント(119)は、ここ3走すべてが勝ち馬から大きく離された二桁着順。1400m戦や1600m戦での敗戦には目をつむるが、2000mのG2ジョッキークラブCで11着はいただけない。2連覇に黄信号が灯っている。G1宝塚記念で2着に頑張ったカレンミロティックは116で3番目の評価。行きたい馬が何頭かいるが、池添騎手が注文をつけてペースを握れば、そのままも十分に考えられる。海外で強いハーツクライ産駒であることも心強い。

 春のG1ドバイシーマクラシックでジェンティルドンナに2馬身半差の4着したドイツのエンポリと一昨年の覇者で、このレースは4度目の参戦となる古豪レッドカドーが115で肩を並べている。エンポリは9月末のG1オイロパ賞で2番手から抜け出して優勝。能力はここでも通用するはずだ。もうすぐ9歳になるレッドカドーは前走のG1メルボルンCで2着と好走したが、往年の末脚にややかげりが見えている。展開がはまってどこまで。穴はG1英セントレジャーで3着した英国3歳馬のスノースカイ(113)。鞍上にR.ムーア騎手を配して、今年最後の大一番で波乱を起こすか。

◎フリントシャー
〇エンポリ
▲カレンミロティック
☆スノースカイ
△レッドカドー

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