7戦不発、本田圭佑の突破口はどこに? カギは「引いた相手を崩す攻撃の向上」
ボールをもらう前の駆け引き
7戦連続無得点。本田の突破口はどこにあるのか 【Getty Images】
ゲームをつくる選手から、ゲームを決める選手へ。本田が司令塔からフィニッシャーへとプレースタイルを変えているのは、日本代表の利益になるはず。特に今季の右ウイングでは、ボールをもらう前の駆け引きが際立つ。
昨季のミランでは、同じ右サイドで、縦パスをそのまま足下に収めようとするプレーが多かった。右半身で相手DFをブロックし、ボールを隠しながら、左足で縦パスを収める。ザックジャパンのトップ下で行っていたようなポストプレーを、右サイドで実行し、パスワークの中継点になろうとした。しかし、その結果、セリエAのDFたちはゴールを向いていない本田に対して、恐れることなく執拗な当たりを浴びせ、本田のプレーはかなり制限された。
明らかに変化したトラップ
わずか左足と右足の差異。たった1歩分のスルーフェイントだが、対峙(たいじ)したインテルDFドドを混乱させるには十分だった。本田の左足に合わせて中央寄りにポジションをとったドドは、縦のスペースを空けており、本田はそこへファーストタッチからドリブルで運び、侵入に成功した。
止めると見せかけ、流す。下がると見せかけ、反転して飛び出す。それまではボールを収めることを重視した本田のトラップが、明らかにアタッカーの攻撃的トラップに変化している。最優先すべきは、スペースへの仕掛け。最初に裏を突かれる恐怖を与えれば、相手も思い切って間合いを詰められない。初めから左足に止めると分かっていたかのような昨季のプレーに比べると、今季の本田のオフ・ザ・ボールの細かい駆け引きは、非常に見ごたえがある。
とはいえ、ディフェンス戦術にうるさいセリエAのチームは、対人においても、相手のくせを研究して対応するのがうまい。0−1で敗れた第14節のジェノア戦は、上記のような本田のフェイントに対し、DFルカ・アントネッリが予測して寄せる場面があった。また、スペースへの飛び出しも強く警戒されている。序盤に通じていたプレーが、通じなくなる場面が増えた。
セリエAは一筋縄ではいかない。これで7試合連続ノーゴールの本田だが、突破口はどこにあるのだろうか?