母国で好対照なクルピとオリヴェイラ Jリーグで確かな実績を残した2人の今
鹿島でJリーグ史上初の3連覇を成し遂げたオリヴェイラ。今季はブラジルの名門サントスを率いた 【写真:アフロスポーツ】
各々が置かれた環境と状況が異なっていたとはいえ、結果として、明暗が分かれた。
ボタフォゴで結果を残し名門サントスへ
この実績を買われて今年1月にサントスへ招かれると、サンパウロ州リーグで決勝へ進んだ。相手は中堅クラブのイトゥアーノで、サントスが圧倒的に有利とみられていたが、まさかの敗戦。準優勝でありながら、地元メディアとサポーターから批判を浴びた。
4月中旬に開幕した全国リーグでは、ワールドカップ(W杯)前(第9節終了時点)まで10位と出遅れる。W杯による中断期間を利用して行った合宿で守備組織の整備には成功したが、攻撃は連携を高めることができなかった。
昨年末、インテルナシオナルから国内クラブ間では史上最高の4200万レアル(約19億円)の移籍金で加入した元ブラジル代表センターFW(CF)レアンドロ・ダミアンが、度重なる故障もあって極端な不振。若手のFWや攻撃的MFが伸び悩んだのも痛かった。やむなく中盤を省略してロングボールに頼ったりもしたが、ゴールは遠かった。
成績、内容ともに伴わず解任へ
成績もさることながら、ピッチで見せたサッカーもサポーターには不評だった 【Getty Images】
サントスでは、今年12月にクラブの会長選挙が行なわれる。現体制を維持しようとする役員たちが普段にも増して短期的な成績にこだわったことも、オリヴェイラにとっては不運だった。
W杯後の9試合で3勝6敗と大きく負け越して順位が11位まで落ちると、9月2日、クラブから解任を言い渡される。オリヴェイラは、「寝耳に水。ここからチームを立て直す自信があった」と地元メディアに憤懣(ふんまん)をぶちまけた。
とはいえ、ブラジルのビッグクラブは常に地元メディアとサポーターから強いプレッシャーを受けており、結果にこだわって監督のクビを頻繁にすげかえることは、オリヴェイラもよく分かっていたはず。これが日本のクラブであれば解任されることはなかったかもしれないが、ブラジルの実情に見合うような成績を残せなかったことは否定できない。