田辺クラレントにマイルCS大仕事の予感=GI制覇最大チャンスも希望は下位人気!?

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鞍上の自然体こそが馬の力を引き出す秘訣

今年のサマーシリーズはクラレントでの2勝を含む重賞3勝、サマージョッキーシリーズのチャンピオンも獲得した 【netkeiba.com】

 京成杯AHを制してサマーマイルチャンピオンに輝いたクラレント陣営は、マイルCSに照準を定め、念願のGI制覇を目指して調整を進めてきた。1週前には栗東に駆け付けた田辺を背に、坂路コースで併せ馬で追い切った。併せたシャイニーホーク(OP)に2馬身ほど先着し、順調な仕上がりを感じさせる動きに見えたが、その翌日に乗った感想を尋ねてみると

「追い切りに乗ったのは初めてだったので、正直、わからないです(笑)。終いの反応は良かったですし、悪くはなかったと思いますけどね」

 と、田辺らしい正直で力みのない答えが返ってきた。

 これまで田辺は、橋口厩舎の馬にはほとんど騎乗していない。初騎乗に近い厩舎の馬を依頼された場合は、騎乗機会の多い厩舎の馬に乗る時と気持ちの上で違いはあるのだろうか。

「以前は初めて乗る厩舎はその先に繋げたいと考えていましたけど、今はあまり考えなくなりましたね。乗ったのに乗っていないと思っている厩舎も多分ありますね(笑)。今回はクラレントのお蔭で橋口厩舎と繋がりましたが、ノースヒルズの前田幸治社長とも結構話せるようになりましたので、良い縁ができたと思っています。あとは騎乗する時には、その時に自分ができることをしっかりやるという感じです」

 ジョッキーとして欲がないようにも感じるが、この自然体こそが馬の力を引き出す秘訣のような気がする。クラレントの能力やセンスの良さを存分に発揮させられたのも、田辺の自然体が大いに影響しているだろうし、その自然体が時としてジョッキーとしてプラスになる縁をも引き寄せたのかもしれない。

「馬の能力を引き出せるように」

GI勝利の最大のチャンスか、田辺&クラレントに大仕事の期待がかかる 【netkeiba.com】

 11月19日、坂路コースで助手を背にクラレントの最終追い切りが無事終了し、あとは本番を待つばかりとなった。これまでGIのタイトルに手が届かなかったクラレントについて、田辺の意見を聞いてみた。

「GIレースに実際に乗っていないので、なぜこれまで勝てなかったのかはわからないですね。実際に乗ってみると感じることがあるのかもしれないですけどね」

 続けて性格や長所、特徴などを交えてクラレントについて語ってくれた。

「大人しいと思っていたんですけどね(笑)。バタバタしたり跳ねたり、実は結構うるさいらしいですよ。本番では良い子なんですけどね。気を遣っていないと若干掛かるところはありますけど、スタートは速いですし、競馬がしやすい馬です。1600mの距離も丁度良いと思います。左回りしか乗っていないので、右回りの京都コースがどうなのかははっきりとわかりませんけど、モタれるような癖はないんですよね。そういう意味では悩みが少ない馬です。GIに足りる足りないか、勝てるか勝てないかというのが紙一重のところにあるとすると、やはり心配な面がほとんど見当たらないのが一番良いことだと思いますね」

 左回りに良績が集中している同馬だが、右回りで挙げている2勝はともに京都コースというデータもあるし、回りについては気にする必要はなさそうだ。クラレントの充実振りや、距離やコース条件などの様々な要素を考えると、今回がGI制覇最大のチャンスのように思えるし、心配ごとが少ければ少ないほど、より勝利に近い位置にいるというのは間違いないだろう。

 最後に意気込みを語ってもらった。

「1番人気になったことがないようですけど、人気になるよりは、ならない方が周囲のマークもきつくないですし、乗りやすいですね。人気にならないのは馬が可哀想ですけど、できればあまり人気がない方が良いです(笑)。
 小細工をして馬のリズムを壊すよりは、普通に乗るのが一番だと思います。あとは馬の能力を引き出せるように頑張ります。そして馬に頑張ってもらいます(笑)」

 普通に乗る……大舞台ではこれが一番難しいはずだが、それをサラッとやってのけ、クラレントとともに大きな仕事をやってくれる。田辺は、そんな期待を抱かせてくれるジョッキーである。

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