神取が天龍、長与ら因縁のライバルと激突 生誕50周年大会に豪華ゲストが登場

高木裕美

試合後のコメント

両国大会を成功させた神取は再来年のデビュー30周年も「当然やるよ!」とビッグマッチに意欲 【前島康人】

■神取「感無量。(再来年のデビュー30周年も)当然やるよ!」

――記念試合を終えて今の気持ちをお聞かせください。

 感無量ってこのことなんだろうね。絶対無理とか、できないとかそういう言葉は必要ない! やっぱりね、この両国をやるってなってあのカードを発表した時に、「何やってるんだ、あのバカどもは!」という声もあったと思うんですが、やっぱりこうしてみんな喜んでもらって、みんな笑顔で帰ってもらって。で、長年追い求めていた長与千種との戦いもできて。で、やっぱ天龍さんとの試合もあって。藤原さんとの久々の師匠とのタッグというのもあって。もうプロレスをやってて、50を迎えてこの試合ができたことに本当に感謝しています。やっぱ会場に来てくれた皆さんの支えがあるからできるっていうのも実感できたんで。まさかプロレスに入った時に、「こいつはプロレスラーとして成立しないだろう」って言われた人間が50までできて、こういうかたちでみんなの力を借りてイベントができたっていうことに感謝しています。

――このカードは神取選手の歴史を思い出させてくれるものでした。

 そうだね! それもあるし、ゲストで来てくれた寺田恵子さん含め、城之内さんとマキ上田さんが。ビューティ・ペアの『かけめぐる青春』、ビューティ・ペアのジャッキー佐藤さんの新団体から始まっている。そういう歴史、第一歩をそこで踏み出したっていうのがあるから。歌を歌ってもらえたというのはファンの人もうれしかっただろうし、自分もすごく思いがあったんで。

――試合はかなりカオスな展開になりましたが、あれはある程度予想していましたか?

 いやぁでもあのメンバーなので、それはもう……予想不可能なメンバーなので、もう全部OKだよね、みたいな。でもあの6人がリングに上がって戦えたっていうのは夢が見れたと思う。やっぱ後輩のみんなも続けていくことによって夢を見れるというのを感じてほしいな。

――天龍選手とは14年ぶりに対戦しましたが、ボコボコにされたリベンジは……竹刀で叩いていましたけれど、リベンジできた部分はありましたか?

 やっぱねぇ、一瞬あの悪夢がよみがえったけれど、これはまたボコボコにされるのかなぁって思ったんですけど(笑)、でもリベンジはまだ果たせないな。やっぱあの大きい存在がいてくれるってことはすごく追い求めるものがあるから。自分にとってはすごくありがたい存在です。

――また機会があったらやりたい気持ちはありますか?

 いつでも挑戦するよ(笑)! 走り続けるから(笑)。

――神取選手は生涯現役宣言はされますか?

 う〜ん、当然やり続けていきたいけど、一寸先は何があるかわからないからね。でもやっぱりやれる以上はやって、夢をやっぱり(見せ続けたい)。自分たちの仕事はそれだから。自分の満足もそうなんだけど、みんなにどれだけ影響を与えられるか。

――今日は生誕50周年で、再来年はデビュー30周年となりますが……。

 行くよ(笑)!

――今日の大会と同じ規模の……。

 当然やるよ(笑)! 当然やるよ! 「なんだコイツ?」って思われたいじゃん! どうせなら「なんだコイツ?」って思われたいんで。やっぱりそこで終わりたくないんで(笑)。ありがとうございました!

■天龍「ずっと(リベンジする気持ちを)持ち続けてきた神取のしぶとさには驚くよ」

――14年ぶりに神取選手と対戦しましたが、その感想からお願いします。

 あれだけ竹刀でやられたってことはリベンジされたってことだね。あれからずっと(リベンジする気持ちを)持ち続けてきた神取のしぶとさには驚くよ。あのこと(2000年)をずっと思っていて、最後に竹刀まで持ち出したっていうのは……。

■長与「絞められている時、全女の大田区のことがよみがえって…」

――神取選手の記念試合に出場されて、今の率直なお気持ちからお願いします。

 ハードですねぇ(苦笑)。まぁ相手もハードでしたしね。まぁ組長に遠慮なく張ってもらってたんで、それはちゃんと「よく上がった」ってことなんで。UWFの道場の時にお世話になったことがあったんで、やっぱり一瞬にして遊ばれてしまうところがありました。……すごいですね。告知してこの短期間の間に、本当に頑張ってこの大きな大会を成功させた神取さんですけど。同じ50歳で、50歳になって初めてみなさんに夢を叶えていただいたようなところもありますんで。プロレスって……叶うものなんだなって。毎回毎回思うんですけど、プロレスの良さってミラクルを起こせることだと思うんです。よかったと思います。

――ファンにとっても夢を叶えてもらったという気持ちだと思います。

 難しかったです。今日の試合は本当に難しかったです。試合はって言ったらおかしいですけど、非常に難しい試合で、ひとりずつのキャラ立ちがしっかりしていて、決して交わらないものもあったんですごく難しかったんですけど、だけどこれもファン投票で決まったものなので仕方なく。ありがたく受け止めた試合でした。

――とは言え長与選手が一番注目を浴びているシーンも多々あったのですが?

 意外と結構リングに立っていることが多くて(苦笑)。ありがたいですよ。本当ありがたいですけど、神取さんに絞められている時もそうですけど、心地よかったです。苦しかったというよりも、全女の大田区(体育館での神取の挑戦表明の時のこと)がパーっとよみがえってきて。「あぁ、絞められているんだな」と思ったらそのまんま(苦笑)。夢見心地ってこういうことを言うんでしょうね。でもありがたかったです。うれしかったです。

――それでもニールキックなど見せてくれて、ファンとしてもうれしかったと思います。

 一応引退してるんで、もう誰も呼ばないでください。それだけが願いです(笑)。

――試合でも藤原組長に顔面を……。

 もう痛いってもんじゃないですよ! 横っ面張られるんですよ? クラッシュの時代の時はまだ勢いがあったんですけど、絶対遊ばれてるなと思いました。横っ面ひっぱたかれてる時は。まぁ自分だからひっぱたいたんでしょうね。

――改めて現役への思いがよみがえりはしませんでしたか?

 みなさんそういう風に言われるんですけど(苦笑)、これはスペシャルな、みなさんが応募の中で選んでくれたものなんで……って言っておきます。出ないとも言いませんけど、出るとも言いません。もう言ってるとキリがないんで。でも個人的には出たくないです。バックアップ(に専念)したいです。

――そういう事情があればもしかしたら……。

 ……しんどいんですよ(苦笑)。それはもうみなさんの……筆の力にお任せします! ありがとうございました。プロレスにいい夢を見せてもらい感謝しています。本当にプロレスは最高でした!

■ダンプ「ダメだよ。あんな流血。ボコボコにしないと気持ちよくない」

――神取選手の記念試合に参加されての率直な感想からお願いします。

 物足りないっていうか、神取とはこの前(2007年)の両国でシングルでやってるんだよね。その時も大流血させて……負けたんだよ。その時のがあったから一緒に組んでいてもちょっと血だるまにしたいな、やり返したいな、ダメージを与えたいなって思ってたんだけど、ちょっと……物足りなかったかな。組むよりも敵でいてほしい。そしたら最初から最後までやれたんでって感じかな。

――ファンの注目をダンプ選手と長与選手の対戦で集めていましたが?

 でも今日は神取の誕生日で神取の興行で、千種とやりたいっていうのをテレビでしつこく言っていたから、実現してそうなったので、ちょっとだけ遠慮しました。めちゃめちゃ遠慮しました。物足りない。

――2人も流血させたんだから結構満足したんじゃないですか?

 ダメだよ。あんな流血、血のうちに入んないよ。ボコボコにしないと気持ちよくない。大きいところだったから余計に。やりたい放題やってないよ! 組長に「ダメだよ、仲間割れしちゃあ。出ていくな、出ていくな」ってここ(袖)をつかまれて耳元でずっと言われて。「うるせぇなぁ」って思ったけど、ダメなんだと思って。……また三回目、両国で神取と二回やってるから三回目もやりたいですね。シングルで。動けないようにしたいです(笑)。

■堀田「初心に帰って女子プロレスを盛り上げていきたい」

――神取選手の記念試合に参加されての率直な感想からお願いします。

 私がレジェンドに入って申し訳ないなっていうね(苦笑)。でも選んでいただいただけでも光栄で。私も神取さんとは全女の時代から対抗戦で戦った仲間なので、この大会に出させてもらってすごくよかったと思うし、長与千種はすごく憧れた先輩なので、すごいオーラってものを感じたし。何年経っても勉強させてもらえることはあるなと思うし。本当にプロレスっていうものは奥が深いなって感じさせられましたね。あの人……怖いですね、天龍さん(苦笑)。藤原さんの頭突きも痛いっていうか、全部が痛くて(笑)大変です。ちょっと当たると突き指みたいな。触れるのが怖いっていうか。すごいですね。

――途中ダンプ選手と共闘のようなかたちにもなりましたが?

 私もあそこの部分では。ダンプさんとはよく組んでいるんで、どうしていいかわからないっていうね。まぁ長与さんとのチームなんで、そこはかばわなくてはいけない部分と。難しかったですね。でもいろいろ勉強になるし、こうやって長与さんが出てきたってことで。試合は今後どうなるかはわからないですけど、巡業に参加させていただいて、その巡業がマーベラス、「That’s女子プロレス」の巡業に参加させてもらって。本当に昔の全女時代の厳しさとか、本当にこういうことがあったから全女時代の若手は逃げ出したんだなって。ただ仕事ですよね。そういう厳しさっていうか、巡業が続けば疲れも出てしまうというね。そういうのすごく味わったというか、一日がすごく長くて。東京に帰った時には1カ月くらい経ったかのような時間でしたね(苦笑)。
 女子プロレスを盛り上げる長与千種さんはすごいなっていう。手は抜かないという、本当に。全試合後はバトルロイヤルですよ、みんなで。最後までお客さんを楽しませるというプロフェッショナルの長与千種さん、ダンプ松本さん。その時代があったというのは、この間巡業に参加させていただいて、こういうことをしてたから女子プロレスが人気があったんだなっていうのを、努力しているというのがすごく見えるんで。それを今の若手とか今の女子プロレスを背負っている人たちも死ぬ気で頑張ってもらいたいなって。わたしも女子プロレスを盛り上げたいなって思いました。

――今日はレガースで試合されていましたが?

 ただ単に蹴りやすいだけなの。神取さんと(対戦する時)はこのスタイルなんで、ちょっとこういうので。足を隠したらどんどん老化してしまうので(肌は)出していかないと(笑)。出して、見られてのものだから。出していかないと。わたしももう一度……ね。初心に帰って女子プロレスを盛り上げていきたいなと思います。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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