8年目を迎えたCS、でも改善点はあり? アンケートから見えるファンの熱き思い

山田隆道

のちに「史上最大の下克上」と呼ばれる2010年のロッテ。現在の制度になってのべ4チームがレギュラーシーズン1位チームを下して日本一に輝いている 【写真は共同】

 今季のペナントレースも最終結果が見えてきた。セ・リーグは巨人が優勝を果たし、その巨人に加えて広島と阪神がクライマックス・シリーズ(以下、CS)に進出することが決定。パ・リーグは依然として福岡ソフトバンクとオリックスが激しい優勝争いを繰り広げているが、CS進出に関しては、すでに決定しているこの2チームに加えて、北海道日本ハムの進出が濃厚だ。

 CSという制度のおかげで、ペナントレース優勝を逃した各リーグの2位と3位のチームにも、もう一度日本シリーズ進出へのチャンスが与えられる。思い出すのは、2010年の千葉ロッテだ。パ・リーグ3位からCSを勝ち抜き、さらに日本シリーズまで制した。当時これは「下克上」と呼ばれ、おおいに話題になったものである。

 一方で、このCS制度への賛否もかねてから議論の種となってきた。CSがあることで消化試合が減り、球界全体の観客動員の増加につながるという興行としてのメリットに注目して賛成する声もあれば、ペナントレースと日本シリーズの価値が低下するというデメリットを懸念して反対する声もある。そこでスポーツナビ編集部ではインターネット上でアンケート調査を実施し、CS制度の賛否に関するプロ野球ファンの意見を募集。果たして、プロ野球ファンはCS制度をどう考えているのか? その結果をご紹介したい。(調査は7月25日から8月8日まで実施、合計回答数は3442件)

8年目を迎えたCSは約6割のファンが賛成

6割以上のファンが賛成したCS制度。約3割の反対派も含めて、ルール改正に関する意見も多く出た 【スポーツナビ】

【Q】クライマックス・シリーズについて、どのように思いますか?
回答:3341
賛成:2059(61.63%)
反対:974(29.15%)
その他:308(9.22%)


 正直、ここまで大きな差が出るとは思わなかった。あくまで今回の調査に限った話ではあるが、プロ野球ファンの多くはCS制度の実施自体は歓迎しているようだ。

 次に賛成派から寄せられた意見を一部ご紹介したい。

「下克上が起きるのもおもしろいから」
「消化試合が少なくなり、シーズンの最後までドキドキして見られるようになったから」
「終盤の3位争いがおもしろい」
「戦力的に不利なチームでも、日本一になれる可能性があるから」
「CSがないと下位チームのファンは通年で楽しめない」
「リーグ優勝の価値が薄れるという意見はあるが、リーグ優勝からのCS制覇もまた、今までにない二重の喜びがあるから」

 ここまでは現状のCS制度に対して積極的に肯定する意見だが、中には肯定というよりも消去法的に仕方なく容認する意見もあった。それが以下である。

「不要だと思うが、消化試合を減らす意味では仕方ない」
「ファンとしては反対だが、球団の収益面を考えるとやらざるを得ない」
「ドラフト改革等の戦力均衡化策が実現するなら不要だが、特定のチームに戦力が偏る現状では必要悪と考える」

 ここで目立ったのは、ファンとしての本心よりも、球団の収益面や弱者救済といった球界全体の問題解決のほうを優先させる心理だ。04年の球界再編騒動以降、こういったコミッショナー的視点に立つプロ野球ファンが増えたように思う。

賛成派、反対派にも存在する「ルール改正派」

 さて、対する反対派の意見である。これはもう、先述したペナントレースや日本シリーズの価値低下を主張する声が大半を占めたのだが、中には「ある条件付きなら賛成派に転じる」という人も少なくなかった。

 その条件とは、主に「リーグ優勝チームへのアドバンテージ」や「勝利5割未満のチームの処遇」などに関するルール改正のことだ。実はCS制度のルール改正に関する意見は賛成派からも数多く寄せられており、彼らも彼らで「ルール改正の条件付きで賛成した人」という、根っこの部分では同じ意見の持ち主である。そこで、賛成・反対を問わずルール改正派というジャンルを作り、そのうえで代表的な意見を次に紹介する。

「リーグ優勝チームのアドバンテージを2勝にする」
「たとえ3位以内に入っても、勝率5割未満の場合はCS出場権を剥奪」
「かつてのパ・リーグのように前・後期制にして、それぞれの優勝チームでCSを戦う」
「他の5球団すべてに勝ち越した完全優勝の場合は、CSなし」

 CSの醍醐味(だいごみ)は下克上にあるのだが、だからといって頻繁に起こりすぎてはおもしろくないし、リーグ優勝の権威も守りたい。そう考えた結果、リーグ優勝チームのアドバンテージをもっと増やすべきだという意見にたどり着いたのだろう。勝率5割未満チームのCS出場権剥奪についても、心情的に理解できる。いくら下克上が醍醐味といっても、さすがに借金チームの日本一は楽しめないというわけだ。

 これまでのCSで下克上による日本シリーズ進出が現実となったのは、セは過去7年間で07年の中日だけ、パでは過去10年間(プレーオフ時代含む)で04年の西武、05年のロッテ、10年のロッテの3回だ。これを頻繁と考えるか、それとも下克上に価値を見出せる“絶妙なレアケース”だと考えるか、それもまた意見が分かれるところだろう。

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著者プロフィール

山田隆道

作家。1976年大阪生まれ。早稲田大学卒業。「虎がにじんだ夕暮れ」「神童チェリー」などの小説を発表するほか、大の野球ファン(特に阪神)が高じて「阪神タイガース暗黒のダメ虎史」「プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。現在、文学金魚で長編小説「家を看取る日」、日刊ゲンダイで野球コラム「対岸のヤジ」、東京スポーツ新聞で「悪魔の添削」を連載中。京都造形芸術大学文芸表現学科、東京Kip学伸(現代文・小論文クラス)で教鞭も執っている。

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