8年目を迎えたCS、でも改善点はあり? アンケートから見えるファンの熱き思い

山田隆道

16球団構想は反対派が多数も

アベノミクスでも話題に上がった16球団制については、55%が反対だったが、球界の未来を考えるさまざまな意見が寄せられた 【スポーツナビ】

 また、「16球団に増やし、4地区制にするなら賛成」など、球団数やリーグ数(地区数)の増加をCSの是非に関連付ける意見も複数あった。たとえばMLBのように30球団・6地区制とまではいかないまでも、安倍晋三首相によるアベノミクスの成長戦略として提唱されたプロ野球16球団構想が実現するなら、CS制度も意味があるという考え方だ。確かに、現状12球団のうち半数の6球団がCS進出ではあまりにハードルが低すぎる。
 しかし、これについては「そもそも16球団構想が実現するのか?」という別の問題がある。そこで同アンケートでは16球団構想の賛否も募ったのだが、その結果が以下だ。

【Q】安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の一環としてプロ球団を4球団増やして、16球団にしようという動きがありますが、どのように思いますか?
回答:3363
賛成:1092(32.47%)
反対:1850(55.01%)
その他:421(12.52%)


 これは反対派が過半数を獲得した。主な理由としては04年の球界再編騒動、中でも近鉄消滅という悲劇が尾を引いているのか、以下のような経営不安に対する指摘が多かった。

「名乗りでる企業があるとは思えない。あったとしても経営的に無理がある」
「赤字球団と球団消滅の悲劇を繰り返すだけ」
「メジャーリーグはアメリカだけでも人口3億人で30球団、日本は人口1憶2千万人で12球団。ましてや日本は少子高齢化。本来は8球団でもいいはず」
「日本では約350人もの選手を集められない」

 この他には球団数を増やすことでプロ野球全体のレベル低下を危惧する声や、プロ野球ファンの総数が増加することなく分散するだけになるといった声も少なくなかった。しかし、これは同時に諸々の不安点さえ解消されるなら歓迎したいという意味でもあり、賛成派の中で目立った「経営できる企業があるなら賛成」「複数オーナー制なら賛成」「現状の年俸なら新規球団に勝ち目はない。球界全体でサラリーのインフレ対策が必要」などといった条件付き賛成と同義に近いと言える。

 また、「球団を新たに増やすよりも既存の独立リーグと連携を図ったほうがよい」という意見も“反対派”の中にしばしば見られたが、これも決して後ろ向きの反対ではない。四国アイランドリーグplusや北信越のBCリーグなどNPBの球団がない地域で展開している、もうひとつのプロ野球を国策として強化するという現実的な提案である。

 いずれにせよ、プロ野球ファンの多くはプロ野球が本当に大好きで、その存続と発展を願っているからこそ、シビアな意見も言いたくなるのだろう。CS制度の行く末と球団数の問題は双方セットで考えるべきなのかもしれない。

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著者プロフィール

作家。1976年大阪生まれ。早稲田大学卒業。「虎がにじんだ夕暮れ」「神童チェリー」などの小説を発表するほか、大の野球ファン(特に阪神)が高じて「阪神タイガース暗黒のダメ虎史」「プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。現在、文学金魚で長編小説「家を看取る日」、日刊ゲンダイで野球コラム「対岸のヤジ」、東京スポーツ新聞で「悪魔の添削」を連載中。京都造形芸術大学文芸表現学科、東京Kip学伸(現代文・小論文クラス)で教鞭も執っている。

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