ジャスタウェイと同じ須貝厩舎のゴールドシップ（牡５＝栗東・須貝厩舎）も、もちろん凱旋門賞制覇の可能性は十分にある。ゴールドシップのセールスポイントは何と言っても息の長いスパートだ。世界の一線級を相手に出遅れてしまえば致命的かもしれないが、スタートが決まったうえでの後方待機策から、他馬が牽制しあう直線手前のコーナーからロングスパートに打って出れば、策としては面白いし、自らの競馬に持ち込める。力のいる馬場での適応能力が高いことも強みだ。ロンシャンをはじめ、ヨーロッパの芝コースは日本のように整備されておらず、足抜きも悪いので、当然パワータイプでないとこなせない。その点、ゴールドシップは力のいる馬場も問題なく、むしろパワー対決は歓迎といったところだ。日本馬の中で最も勝利の二文字に近いのは、この馬かもしれない。

　今年はタイプの違う３頭による凱旋門賞挑戦だが、この３本の矢がロンシャンのターフを真っ先に突き抜けることを期待したい。

(photo ＆ text by Kazuhiro Kuramoto)