なぜ韓国はアジア大会に本気で臨むのか
頂点へ油断なしも、命運を握るのは日本?

変わった状況、対日本を意識

決勝での先発が予想される金廣鉉。当初は台湾を想定されていたというが、予選を経てその分析対象は日本に変わったという(写真は09年WBCのもの)
決勝での先発が予想される金廣鉉。当初は台湾を想定されていたというが、予選を経てその分析対象は日本に変わったという(写真は09年WBCのもの)【Getty Images】

 他のチームと比べ、圧倒的な戦力を誇る韓国だが、代表チームを率いる柳仲逸監督(リュ・ジュンイル、51=サムスン)は「予選では相手が格下であってもベストメンバーをそろえた」と、手を抜かない姿勢で取り組んできた。そこには油断は禁物という考えがあるからだ。国際大会の経験が豊富で、韓国を代表する安打製造機の金賢洙(キム・ヒョンス、26=斗山)は予選を終えてこう話す。


「北京五輪、4年前の広州アジア大会と、(準決勝で対戦する)中国に楽に勝ったことがない。特に準決勝はこれまでの戦いとは別物なので、気を引き締めた方が良いと、(先発登板予定の)李在学(イ・ジェハク、23=NC)にも言いました」


 韓国が大会前に描いたシナリオは、準決勝で中国を破り、台湾との決勝戦を制することだった。しかし予選を経て、状況が少し変わってきた。柳仲逸監督は「台湾の実力がそれほどでもなかった。準決勝で台湾は日本に負けるかもしれない」。韓国は予選の台湾戦に10対0、8回コールド勝ちしている。これまで韓国は台湾を中心に対策を練ってきたが、決勝戦を前に、対日本の戦力分析結果を選手間でも共有することにした。

見据えるは「5戦全勝で金メダル」

 上記に記した内容から、韓国チームには緊迫したムードを感じるかもしれないが、予選では監督以下、選手たちはリラックスムードだった。ムチを入れるのは「金メダルへのマジック2」が点灯したこれからだ。


 決勝戦で韓国と顔を合わせるのは日本か台湾か。野球日本代表「侍ジャパン」社会人代表を率いる小島啓民監督(50=三菱重工/長崎県庁)はこう口にする。

「前回(広州大会)は韓国と対戦していないですからやってみたいですね。韓国は日本が来る方が嫌だと思うんですよ。こちらはいろいろと試してみたいことがあります。先発は金廣鉉でしょ?」

 韓国の選手に関する知識を豊富に持つ小島監督にとって、韓国は野球人マインドをくすぐる対戦相手だ。


「銀メダルは要りません。(今大会)5戦全勝で金メダルを狙います」。予選を終えて、力強く語った韓国の柳仲逸監督。その運命を左右するのは日本か台湾か。アジア大会準決勝は27日、日本対台湾、韓国対中国で行われ、その勝者が28日、決勝戦で激突する。

室井昌也
室井昌也

1972年、東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。ストライク・ゾーン取締役社長。

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