「空白の2年」を経て成長した山中亮平 代表復帰「僕だけの経験をプラスに」
エディー・ジャパンに初招集
恵まれた体格に鋭いパス、ロングキックが評価され、日本代表に復帰した山中亮平 【斉藤健仁】
日本代表を率いるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は、11月に向けて「先発は同じ」と言うものの、ワールドカップまで1年を切ったタイミングで「新たに選出された選手にはチーム内で争ってほしい。山中は大きい(身長188センチ)し、左足でキックもできる」と期待を込めて選出した。
栄光から一転…「若かったですね」
資格停止処分中は周囲の人々に支えられた 【斉藤健仁】
だが、一転して表舞台から姿を消す。同年4月、IRB(国際ラグビーボード)が行ったドーピング検査で、ひげを伸ばすために使用した育毛剤が原因で陽性反応を示した。山中は「若かったですね」と振り返ったが、2年間の資格停止処分が下され、プロとして入社した神戸製鋼ラグビー部を退部。ジムで体を鍛えることは問題なかったが、練習も含めてラグビーをプレーすることは一切禁止。ボールを触れることもなく、スパイクを履くこともほとんどなかった。それでも山中は楕円球をあきらめなかった。
「神戸製鋼が復帰する環境を整えてくれましたし、2年経っても25歳だったのでいけると思いました。ただ2年間は長かったです……。2年目の4月、あと1年あるのかとしんどかった。社員として仕事をし、いろんな人に支えられていて恩返しをしないといけないという思いがあったので気持ちが折れませんでした。(2012年の10月に結婚した)妻にも支えてもらいました」。いつの間にか、山中の目の奥は赤くなっていた。
「僕だけしか経験できなかったことをプラスに」
距離が出る左足のキックも持ち味 【斉藤健仁】
しかし、いくら元日本代表とは言え、ブランクのある「新人」にとっては、年々レベルの上がるトップリーグ、しかも名門・神戸製鋼の壁は厚かった。昨シーズン、山中の試合出場は2試合にとどまった。桜どころか、深紅のジャージーに袖を通すこともままならなかった。そのため、今シーズンは「結果を出さなければいけない」。その思いを感じたこともあるだろう、神戸製鋼は、今年から提携を結んだスーパーラグビーのチーフス(ニュージーランド)に山中を派遣した。