練習の仕上げは富士山ヒルクライム 初めての「ツール・ド・東北」挑戦記(2)

スポーツナビDo

富士山ヒルクライムに挑戦

富士スバルラインの入り口。この後、悲劇が待っていた 【スポーツナビDo】

 ヤフー自転車同好会が富士山でヒルクライム(急勾配の山道で行うタイムレース)をやるらしい――。

 その話が聞こえてきたのは、8月下旬のことでした。そういえば、ジャイアント社のPR担当である渋井亮太郎さんも「ツール・ド・東北 2014のコースはアップダウンが激しいですよ」と言っていました。

 普段は平地のコースで練習していることもあり、上りの経験が必要だと感じたわれわれは早速、ヤフー自転車同好会に連絡を取ってみました。すると、あっさりオッケーの返事。そして8月31日、富士山ヒルクライムに同行させていただきました。しかし、そこでわれわれは自分たちの未熟さを存分に思い知らされることになるのです。

心が折れながらも……何とか完走!

上れば上るほど霧が濃くなっていく 【スポーツナビDo】

 チャレンジしたのは富士山の五合目までを上る富士スバルライン。距離にして約25キロ、標高差は1270メートルにのぼるコースでした。われわれも含めて、参加者は約35名ほど。メンバーは順調に増えているとのことで、巷での自転車人気の高まりがうかがえました。

 頼れるヤフー自転車同好会メンバーの先導のもと、富士スバルラインのスタート地点へとたどり着くと、そびえるのは急勾配な坂。「えっ、あれ上れるの……」。そんな不安を抱えながらスタートしました。

 一合目。体力に不安が残る僕と杉本社長は、最初の組でスタートしましたが、後ろから来る面々に次々と抜かれていきます。「何でみんな、そんなに早いの〜」。会社では聞けない情けない一言とともに、杉本社長はあっさりと失速。僕からも見えない位置に落ちていきました。

 二合目。標高1500メートルを超えると、ややヒンヤリとしてきました。回りには誰もいない単独走となってしまった僕は、ひたすら自分との戦い。一方、杉本社長は同好会の皆さまの力強いバックアップのもと、最後尾で戦っていました。

笑顔でゴールする杉本社長 【スポーツナビDo】

 三合目。1800メートルにもなると、かなり寒くなります。雨が降り出し、吐く息も白くなってきました。ここまで来ると、足はもうパンパン。漕ぐごとに足が悲鳴をあげ、腰の痛みも出てきました。

 スタート前、同好会の方は「マイペースで楽しく上ってください。一合目から二合目までは坂がきついですが、三合目以降は少しなだらかになって、上りやすくなりますよ」と言っていましたが、それはあくまで彼らの基準でした。とっても辛いじゃないですか……。

 四合目。2000メートルを超えると、霧も深くなってきました。気温はますます下がり、必死に登っているのに寒い。とにかく寒い。かいた汗がすぐに乾いて、体温も下がっていきます。何度も休憩を取り、少しずつペダルをこぎ進めます。

 そして、最後の踏ん張りでこぎ続けると、ようやく五合目が近づいてきました。最後の最後で立ちはだかる急坂を越えると、歓喜のゴール。3時間もかかってしまいましたが(同行会の方々は1時間半ほどでゴールしていたと思います)、何とか完走することができました。杉本社長も僕から遅れること約1時間後にゴール。「何回も心折れたよ〜」と言いながらも、満面の笑みでゴールすることができました。

きついコースも達成感と自信に

一緒にヒルクライムを行ったヤフー自転車同好会のみなさん 【スポーツナビDo】

 われわれには相当にきついコースではありましたが、雄大な自然の中で懸命に走ったことは、通常のロングライドでは得ることができない達成感をもたらしてくれました。準備期間こそ短かったですが、何度も長い距離を走り、山道を経験したことで、われわれも相応の自信を得ることができました。

「富士山を上り切ることができれば、“ツール・ド・東北”も大丈夫です」という同好会の方からの言葉も励みになりました。残すは“ツール・ド・東北 2014”本番だけ。自転車のメンテナンスもばっちりで準備万端で臨むことができます。必ずや完走して、ハッピーエンドで当連載を終えたいですね。
(取材・文:大迫拓郎/スポーツナビ)

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著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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