故障明けでも快勝 錦織圭の魅力と素質=全米オープンテニス
元女王を追い込んだ土居美咲
元女王のアザレンカから第1セットを奪い、勝利まで後一歩というところまで追い込んだ土居美咲 【写真:ロイター/アフロ】
第1セット、土居が序盤にブレークチャンスをつかみ、アザレンカが必死にそれをかわす。アザレンカが第9、第11ゲームにブレークポイントを得ると、今度は土居が打ち合いを制して譲らない。土居が恐れず立ち向かうことで、自信薄弱のアザレンカにプレッシャーが掛かった。するとタイブレークで3本のダブルフォルトを引き出し、土居が先手を奪った。
第2セットも先行してプレッシャーを掛けたかったが、惜しかったのは第1ゲーム。ダブルフォルト絡みで30−40とブレークチャンスをつかんだが、アザレンカには一発があり、元女王としての経験もある。ぐらつきながら要所でサービスエースをたたき込まれると、逆に第6ゲームで先にブレークされた。そこからはブレーク合戦になったが、もう1つ惜しかったのはアザレンカが5−4で迎えた土居のサービスゲームだ。40−15とリードしてから追いつかれ、2本目のセットポイントを決められた。ここを切り抜けていれば……あと一歩だった。
セットタイにこんなシーンがあった。土居がトイレットブレークでコートを離れた間にアザレンカはボールボーイを相手に練習を始めた。こうした演出で観客を引きつけながらリラックスする……経験値の差が出たが、久々に土居らしい打ち合いの妙味を見た。
男子では、ロジャー・フェデラー(スイス)、ダビド・フェレール(スペイン)、女子ではセリーナ・ウィリアムズ(米国)、ペトラ・クビトバ(チェコ)、ユージェニー・ブシャール(カナダ)など上位シード勢が勝ち進む中、15歳で世界ランク1208位のキャサリン・ベリス(米国)が、今年の全豪オープンで準優勝したドミニカ・チブルコワ(スロバキア)を倒すという波乱もあった。なお、初の本戦出場だった西岡良仁(ヨネックス)は発熱の影響で途中棄権した。
(文:武田薫)