2014年最注目の八重樫vsロマゴン=9月のボクシング興行見どころ

船橋真二郎

10日は最重量級、24日は最軽量級の日本王座戦

2度目の対戦となる日本ヘビー級王者・京太郎と竹原 【スポーツナビ】

 9月は最重量級と最軽量級の日本タイトルマッチが、いずれも後楽園ホールで行われる。

 昨年、56年ぶりに復活したヘビー級王座に就いた藤本京太郎(角海老宝石)は10日、2度目の防衛戦で竹原虎辰(緑)と対戦する。昨年11月の初防衛戦に続く竹原との再戦は、残念ながらヘビー級の人材不足を象徴するもの。前回と同様、藤本がヒット・アンド・ランで勝ちに徹すれば、再び判定で勝利する可能性は高い。だが、今後の選択肢として、今年4月のノンタイトル戦で際どく判定勝ちした石田順裕(グリーンツダ)との再戦も候補に上がっているだけに、結果を出せばOKとはならないだろう。新鮮味に欠けるカードと言われないためにも、14日に大阪・ボディメーカーコロシアム第2競技場で再起する石田とともに内容で魅せ、決戦ムードを盛り上げてもらいたい。

 ミニマム級王者の大平剛(花形)は24日、同級7位の山本浩也(全日本パブリック)を相手に2度目の防衛戦に臨む。大平は一昨年12月、世界ランカーの國重隆(ワタナベ)に判定勝ちして以降、明らかな自信と力をつけてきた技巧派サウスポー。対する一昨年の全日本ミニマム級新人王の山本は好戦的なファイターと対照的で噛み合わせは良さそうだが、山本は10カ月のブランクがあり、ややキャリア不足な点も気がかり。未定ではあるが、この階級では東洋太平洋王者の原隆二(大橋)と、3勝1KOながらデビュー戦から世界ランカーを連破し、WBA12位にランクされている“中京の怪物”田中恒成(畑中)との今秋の対戦がクローズアップされるだけに、IBF6位、WBO14位にランクされる大平もしっかり存在感を示したいところだ。

国内女子最年長防衛記録がかかる池山のV1戦

国内女子最年長防衛記録がかかる45歳のWBO女子世界アトム級王者の池山直 【写真は共同】

 20日は女子のダブル世界戦。大阪・アゼリア大正でWBO女子世界アトム級王者の池山直(フュチュール)が秋田屋まさえ(ワイルドビート)との初防衛戦に、池原シーサー久美子(フュチュール)がグレッチェン・アバニエル(フィリピン)とのWBO女子世界ミニフライ級王座決定戦に臨む。試合の2日前に45歳になる池山には国内女子最年長防衛記録がかかり、秋田屋は通算3度目の挑戦でタイトル奪取を期す。両者は2010年5月以来の再戦。前回は池山が6回判定勝ちしている。池原はこれが初の世界戦。アバニエルは通算4度目のタイトル挑戦で昨年11月に来日し、WBA女子ライトミニマム級王者の宮尾綾香(大橋)に判定で敗れている。

 また、7日は後楽園ホールで「U−15ボクシング全国大会」が行われる。ジュニア世代の育成を目的に始まった同大会も今年で7回目を数える。すでに第1回大会に出場した井上尚弥が世界王者となり、松本亮、井上拓真、田中恒成といった若手有望株もこの大会の出身者だ。各地の予選を勝ち抜いた代表選手の戦いはレベルが高く、見応えも十分。午前10時30分に小学生の部からスタートし、シャドー大会、中学生の部が行われる。未来の世界王者、五輪メダリスト候補をチェックしてみるのも楽しい。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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