9年ぶりVへ進む虎党唯一の不安、和田監督をめぐる複雑な思い
阪神ファンにとって願ってもない展開
オープン戦での不振から一転、「4番・一塁」にどっかりと座りチームを引っ張るゴメス 【写真は共同】
実は去年の同じ時期も、同じように巨人を追っていた。しかし、それまでの推移はまるで逆だ。去年は6月に好調で首位に立ったものの、7月にはすでに息切れ気味だった。それを考えると、夏からの大失速でフェードアウトした去年とは違う結果を期待したくもなる。
前の優勝からはや9年。めったに優勝しないチームだから、ついファンも気弱になるが、今年の期待は根拠のあるものだ。交流戦を除いた純粋なセ・リーグの対戦だけで見れば、阪神は広島、巨人を抑えて勝率トップ。巨人との直接対決もここまで9勝6敗と分が良い。何より下位の横浜DeNA、東京ヤクルトのチーム状態が上向きで、夏になって巨人のチーム状態が良くないというのは、阪神にとって願ってもない展開だ。阪神が優勝争いの中心になっていくという予想は至極まっとうなものだ。
補強の成功と中堅・若手の成長
クローザー・呉昇桓の補強も成功だ。手痛い救援失敗や炎上寸前の劇場投球もあるが、失敗を次に引きずらず、ここまでリーグトップの27セーブはさすがの一言。優勝には欠かせないパーツを確保できた。
新外国人による強化に負けず劣らず、中堅・若手選手の成長により、チームが活性化したことも大きな好調要因だ。これまでも脚力と内角を引っ張る長打力に非凡さを見せていた上本博紀だが、今季はファウルで粘って投手に球数を投げさせたり、右方向へおっつけたりするイヤらしさが備わり、西岡剛に代わって二塁のレギュラーをガッチリつかんだ。
ルーキー捕手・梅野隆太郎は、打率こそ低い(8月10日現在、1割9分9厘)が、思い切りの良いスイングで試合を決めるホームランを放ったり、新人とは思えない堂々としたリードと献身的な守備で、先輩投手たちを引っ張っている。