甲子園が「野球の聖地」たるゆえん、変わらぬ姿で伝説を見守り続けた90年
変わらぬ姿を残す甲子園
2014年8月1日に90歳を迎えた阪神甲子園球場。夏の甲子園の舞台となる 【写真=BBM、AP】
1891年開場で1963年までジャイアンツ、ヤンキース、メッツなどが本拠地として使用したポロ・グラウンド。甲子園のモデルになった。少し似ているだろうか!? 【写真=BBM、AP】
このポロ・グラウンドはもう現存してないが、メジャーリーグの球場には甲子園よりも古いレッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パーク(12年開場)とカブスの本拠地(14年開場)がある。この2つの球場は基本的にはメジャーの試合のみで使用され、年間約80試合が行われている。
しかし、甲子園は春の選抜高校野球大会、夏の高校野球選手権大会の2つの大きな高校野球公式大会を行っている。この2つの大会で約80試合、阪神タイガースの試合で約80〜90試合。年間約170試合近く使用されるグラウンドは世界のどの球場を見ても見当たらない。しかもその使用を90年間も続けてきた中で、芝生やグラウンド、そしてマウンドは、今でも何も変わらぬ姿を残している。
この現存維持の努力は、阪神甲子園球場を管理している阪神園芸の努力のたまものだ。2年後輩の明治神宮球場は残念ながら人工芝を採用しているが、甲子園は天然芝と内野は全土のグラウンド。ここが変わることなく90年間続いた。この原風景を残しているからこそ、甲子園は特別な存在になっているのだ。
「生きている」球場
土がその季節の気温や湿気を感じながら、野球に適した硬さ、柔らかさを保っているという。この甲子園の土は鹿児島の黒土と、京都の白砂をブレンドしたハーフ土。阪神園芸は、この比率を水はけが変わる季節によって微妙に変えているという。春は黒土5.5、白砂4.5に対し、夏は6対4。雨が多いセンバツ期間中はやや白砂を多めに。一方、夏は、太陽の照り返しによるまぶしさと乾きやすさを防ぐため黒土の配分を多くしている。この細かい配慮があるからこそ、土は生き続け、選手たちが躍動できる場を与えているのだ。