世界に誇るコンテンツへと変貌したMLS カカ、ビジャ、ランパードら大物が参戦
あらゆる意味で魅力的な戦場に
カカ(写真)、ビジャ、ランパードら大物が参戦するMLS。近年はキャリアの晩年を迎えつつあるスター選手が米国に移籍するケースが増えている 【写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ】
移籍先はいずれも耳慣れないチームだが、それもそのはず。両方とも、15年シーズンから米国のメジャーリーグサッカー(MLS)に新規参入する真新しいチームである。MLSは05年からエクスパンション(チーム数増加)を進めており、15年にはこの2チームが、17年にはアトランタを本拠地とする新クラブが参加する。現役を引退したばかりのデイビッド・ベッカムが経営陣に名を連ねるチームも、マイアミを本拠に近々、参戦する予定となっている。
クラブ数増加の背景も手伝い、近年、カカやビジャ、ランパードらのように、キャリアの晩年に突入しつつある選手がMLSに移籍するケースが増えている。この原稿を執筆している時点では具体的な動きは見えていないものの、ロビーニョ(ミラン)やシャビ(バルセロナ)にもMLS移籍のうわさがある。かつてはローカルリーグに過ぎなかったMLSだが、今ではあらゆる意味で魅力的な戦場となっているのだ。
一流プレーヤー獲得を可能にした特別指定選手制度
スター流入のきっかけを作ったのがベッカムだ。今では多くの魅力が伴う戦場になっている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
この特別指定選手制度の適用第一号となったのが、レアル・マドリーからLAギャラクシーに移籍したベッカム。正真正銘のスーパースターがMLSでプレーすることとなったのだ。契約は5年間で、年俸はMLSでは破格の650万ドル(約6億6000万円)。これに広告収入などが加わり、5年総額2億5000万ドル(約257億円)という超大型契約が実現した。ベッカムにとってはレアル・マドリー時代に匹敵する高額の収入が約束され、LAギャラクシーにとってはユニホームの売り上げや観客数アップなどで収入の大幅アップが見込める。両者にとって“おいしい”契約だったと言えるだろう。
スター流入のきっかけを作ったベッカム
その他にも、12年にはティム・ケーヒルがレッドブルズと、13年にはオバフェミ・マルティンスがシアトル・サウンダーズと、14年にはジャーメイン・デフォーがトロントFCと、それぞれ特別指定選手契約を結んでおり、いずれも数億円の年俸を得ている。ドノバンやマイケル・ブラッドリー(トロントFC)、クリント・デンプシー(シアトル・サウンダーズ)といった米国代表の主力選手も、現在は特別指定選手としてMLSで活躍している。ヨーロッパのトップ選手がMLSに移籍するのは今やポピュラーな流れとなっており、それが今回のカカ、ビジャ、ランパードの移籍につながったと言えるだろう。