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カゼノコの末脚、13年ぶり三冠切り裂く
その差しは母譲り!3歳新ダート王誕生
JRA所属のカゼノコがJDDを優勝、3歳新ダート王の座についた
JRA所属のカゼノコがJDDを優勝、3歳新ダート王の座についた【スポーツナビ】

 JRAと地方のトップホースが激突する3歳ダート王決定戦、第16回GIジャパンダートダービー(JDD)が9日、東京・大井競馬場2000メートルで開催され、秋山真一郎騎乗の2番人気カゼノコ(牡3=栗東・野中厩舎、父アグネスデジタル)が優勝。道中最後方からコーナーごとにポジションを上げていくと、最後の直線は大外から一気に末脚を伸ばし、断然1番人気に支持されていた南関東二冠馬ハッピースプリント(牡3=大井・森下厩舎)との叩き合いをハナ差制した。やや重馬場の勝ちタイムは2分3秒9。


 勝ったカゼノコは今回の勝利で通算12戦4勝、重賞は初勝利。騎乗した秋山、同馬を管理する野中賢二調教師ともにJDDはうれしい初勝利となった。


 なお、2着ハッピースプリントから半馬身差の3着には田中勝春騎乗の6番人気フィールザスマート(牡3=美浦・新開厩舎)。

この馬の競馬をして届かなかったら仕方ない

母譲りの末脚を炸裂!
母譲りの末脚を炸裂!【スポーツナビ】

 その名の通り、まるで風を切るような末脚は、トーシンブリザード以来13年ぶり史上2頭目となる南関東三冠(羽田盃、東京ダービー、JDD)の快挙を、無情にも切り捨てた。地方の雄の前に立ちふさがったのは、やはりJRA所属馬だった。

 今年はJRAから重賞勝ち馬が参戦せず、実績から見ればやや小粒な印象。羽田盃、東京ダービーと圧倒的な強さで二冠を制し、ここまでダート8戦全勝のハッピースプリントが“三冠”を制するのは時間の問題、待望の地方競馬新スター誕生は間近かと思われていた。


「3コーナー過ぎから仕掛けていったんですが、反応が良かったし、これなら直線でいい脚を使ってくれると思いました。接戦だったので勝てて良かったですね」

 手綱を握った秋山は、この大仕事にもいつも通り冷静だった。スタートではゴチャついた影響で不利があり、なんと最後方からの競馬。いくら末脚に威力がある馬とはいえ、この位置取りは野中調教師も想定外だったという。しかし、「この馬の競馬をして届かなかったら仕方ないと、ジョッキーとは話していた」とトレーナー。全権を任されたジョッキーも「もう開き直って、リズムよくこの馬の走りたいようにしました」。それほどまでに、秋山、野中調教師ともにカゼノコの末脚に信頼を寄せていたのだ。

野中師感慨、タフネススターの仔でGI

秋、古馬との対戦が楽しみだ
秋、古馬との対戦が楽しみだ【スポーツナビ】

 この末脚は、父アグネスデジタルからの遺伝も当然あるだろうが、やはり母タフネススターの血を色濃く受け継いでいるのではないだろうか。切れ味抜群の差し脚を武器に、2001年のGIIIカブトヤマ記念を勝利。重賞勝利はこの1つだけだったが、重賞戦線でも常に上位を沸かせていた。個人的なことだが、最後まであきらめずゴール前で猛然と突っ込んでくるタフネススターの競馬が僕は好きだった。その仔がGIを制したのだから感慨深い。いや、もっと感慨深いのは野中調教師だ。

「そうですねぇ……なんとも言えないですよね。自分もそうなんですが、いまカゼノコを担当している人も、タフネススターを担当していましたからね。藤岡厩舎が解散したあと、馬も人もそのまま受け継ぎましたから、やっぱり、この勝利はすごくうれしいですよ」

 野中調教師はかつて藤岡範士厩舎の番頭助手として厩舎を支え、もちろんタフネススターのこともよく知っている。

「カゼノコは、お母さんのダート版という感じです」


 まだまだ完成途上であり、体質も母に似てそこまで強くはない分、体が本格化していくのに合わせながらじっくりと育て上げるつもりでいた。それが想像を超える成長のスピードを見せ、3連勝でのGI奪取だ。

「強くなるのは来年かなと思っていたんですが、トントンとここまで来てしまいましたね。その分、体調のケアなどしっかりしていかなければいけないですけど、今後がすごく楽しみになりました」


 古馬との戦いが待っている秋を見据え、まずは夏休み。次走は現時点では未定だが、ここまで混沌としていたJRA3歳ダート路線の主役に躍り出たことは間違いないだろう。中央の大舞台でも、さっそうと風を切っていく末脚で古馬と対峙するのが今から楽しみだ。


(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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