チリの前に苦しんだ開催国ブラジル 未だ見えない今後のチームの指針
チリにとってはベストゲームのひとつだった
厳しいマークにあい、この日はノーゴールとなったネイマール。ブラジルの「ネイマール依存症」は早く解決すべき課題である 【写真:ロイター/アフロ】
ジュリオ・セーザルだけでなく、ほとんどのブラジル人選手が涙を流していた。それほど精神的に追い詰められていたのである。
攻撃では、ネイマールが厳しいマークを受けて不発。フレッジ、オスカル、フッキらは決定力が低く、フェルナンジーニョ、ダニエウ・アウベスらのミドルシュートも空砲に終わった。チームの「ネイマール依存症」は深刻で、スコラーリ監督はその解決策を見つけることができないでいる。
守備では、オスカルとフッキが自陣深い位置まで戻って、サイドのスペースを埋めていた。しかし、フッキの不用意なプレーと、守備陣全体の不注意が失点に結びついた。
一方、敗れたとはいえ、チリの健闘は見事だった。強烈なプレスで中盤を支配し、組織力に加えてサンチェス、バルガス、チャルレス・アランギスらが高い個人能力を発揮した。過去13年間、ブラジルに対して2分9敗とまったく勝てないでいたが、コンプレックスなど微塵(みじん)も見せず、120分間とPK戦を実に勇敢に戦った。チリのフットボール史上、ベストゲームのひとつ。選手たちは、胸を張って帰国していい。
順調に勝ち上がるも楽観できない情勢
この試合では、ボランチのルイス・グスタボが累積警告で出場できない。コロンビアの強力攻撃陣を抑えるには、フォーメーションを4−3−3として、2列目を右からラミレス、フェルナンジーニョ、エルナネスとして守備を強化するべきではないか。その場合、トップは右からオスカル、フレッジ、ネイマールとなりそうだ。
また、今大会、攻守に精彩を欠く右SBダニエウ・アウベスをマイコンに代えてもいいだろう。
コロンビアの攻撃を組み立てるハメス・ロドロゲスとフアン・クアドラードを徹底的にマークし、攻撃ではロングボールに偏ることなく、ネイマールとマルセロがいる左サイドからの崩しを狙いたい。
ネイマール以外に頼れるアタッカーが少なく、ネイマールが不発なら威力が半減してしまうのが悩みの種。オスカル、フレッジらが奮起しない限り、優勝はとうていおぼつかないだろう。
ここまでの4試合で、今後の指針となるゲームをまだ一度もできていないブラジル代表。今度こそはセレソンらしい試合ができるのか、あるいは一度もできないまま敗退してしまうのか。決して楽観できない情勢にある。