イタリアの早期敗退は必然だったのか 4つの側面から見えたチームの限界
アプローチを誤ったコスタリカ戦
比重を置いたイングランド戦では勝利を収めた。しかし、この結果がチームに緩みをもたらした可能性は否定できない 【写真:ロイター/アフロ】
むしろ大きかったのはメンタルの側面。とりわけコスタリカ戦に関しては、アプローチを誤った部分があったように見える。というよりも、初戦のイングランド戦にあまりにも大きな比重を置き過ぎたあまり、続くこの試合に対する注意が相対的に軽くなってしまったと言った方が的確かもしれない。
マナウスという高温多湿の環境で強敵と初戦を戦うという困難な状況に対して、イタリアは気候条件を再現するテントによる暑熱馴化(じゅんか)をはじめ、考え得るあらゆる準備をして臨んだ。そして試合は内容・結果ともに納得の行く形での勝利。少なくともマスコミをはじめチームを取り巻く環境においては、その時点ですでにひとつの大きな山を乗り越えたような空気が支配的になることは避けられなかった。その時にチームの内部がどんな空気だったかを知る術はない。しかしコスタリカ戦で思わぬ困難に直面した時に、試合を通してまったく反発できないまま終わったという事実を見ると、準備の段階から大き過ぎる重要性が与えられたイングランド戦の勝利が、多かれ少なかれ同じような弛緩(しかん)をもたらした可能性は否定できない。
敗退に値する戦いしかできなかったが……
繰り返すが、イタリアは敗退に値する戦いしかできなかった。これが11人対11人で最後まで正々堂々と戦った結果の敗退なら、もう少し後味は良かったと思うが……。