西岡の復帰で試される和田監督の“器”=阪神崩壊の危険性を広澤克実が懸念

ベースボール・タイムズ

3月30日に福留と激突し、左右ろっ骨の骨折など重傷を負った西岡が1軍復帰間近となったが、手放しで喜べる状況ではないようだ 【写真は共同】

 交流戦を9勝15敗、勝率3割7分5厘と、過去最低の勝率で終えた阪神。ここまで68試合を消化し34勝34敗の勝率5割と、貯金をすべて使い切った。この停滞を打破すべく、3月30日の巨人戦で負傷して長期離脱した西岡剛が、ついに1軍に帰って来る。すでに2軍では実戦復帰済み。「三塁コンバート」も取り沙汰されている中、ヤクルト、巨人、阪神で4番を務め、現在は“虎ひいき”を宣言する野球評論家・広澤克実氏に、西岡復帰による影響、起用法、そして懸念材料を聞いた。

西岡の復帰は新たな火種!?

――交流戦では調子が上がらなかった阪神ですが、リーグ戦再開のタイミングで西岡剛選手が長期離脱から戦列復帰する予定です。チームの起爆剤として期待されますが?

 チームとしては大きな戦力ですが、西岡自身が自分で「帰る場所がない」とコメントしているように、今の阪神には西岡が出る場所がないです。当初は代役だった上本(博紀)が急成長して、「1番・セカンド」として結果を残していますからね。西岡のカムバックが、良い意味でも悪い意味でも、チームにとっての火種になり兼ねない状況だと思います。

――西岡選手は2軍ではサードで出場しました。和田豊監督は西岡選手をスタメン出場させるためにサードへのコンバートを考えているようですが?

 西岡をサードで使って、今成亮太や新井良太をライトで使うということですね。メンバー構成上、そうならざるを得ないんでしょうね。今は緒方凌介がライトで出場することが多い。試合によっては柴田講平や俊介が出て、ベテランの福留孝介もいますが、ライトの絶対的レギュラーと言える選手がいないという状況ですからね。そして今成も新井良太もライトの経験があるからということでコンバートするんでしょう。でも、そうなると崩壊するかもしれない。

――崩壊ですか?

 そうです。問題は守備力です。甲子園の外野は広いので、1本のヒットで一、三塁の形をすぐに作られてしまう。レフトならまだしも、特に甲子園のライトを守るには高い守備力が絶対に必要になります。攻撃第一で得点力は上がるかもしれませんが、その分、守備面、投手陣への影響は出てしまうでしょうね。

「1番・セカンド」こそが彼の帰る場所

――守備面に加えて、何番の打順で使うのかも気になるところですが?

 ホント、何番で使うんだろうね。今の上本、大和の1、2番は悪くないからね。そこを崩さないとすれば6番か7番になるんだろうけど、6番、7番で西岡を使うんだったら、タイガースにおいて彼の果たす役割は終わったと思います。やっぱり西岡は1番か、最低でも2番。そしてセカンドを守ること。6番や7番、さらにサードとなると、申し訳ないけど彼の存在価値は低くなる。

――西岡個人のことを考えるなら、やはり「1番・セカンド」が理想?

 その役割を果たすために、彼はタイガースに来たわけですからね。「6番・サード」なら他にも使える選手がいますし、それこそ外国人で補える。やはり「1番・セカンド」こそが彼の帰る場所だと思います。西岡は「6番・サード」の選手ではないですし、「1番・セカンド」でこそ、一番輝ける選手だと思います。

――ただ、現状では上本が好調ですから使いどころが難しいですね?

 そうなります。そういう意味でも西岡は厳しい立場に置かれています。西岡自身も危機感を持っているでしょう。ベンチ要員というわけにもいかないでしょうし、どこでどう使うのかということを首脳陣としっかり話し合うことも必要になるでしょう。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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