栄光、挫折…ベッカムが戦ったW杯 たどり着いた「完璧なエンディング」
因縁のアルゼンチン代表と再戦
2002年のW杯・日韓大会で因縁のアルゼンチン代表を破る 【写真:ロイター/アフロ】
ただ、それは、一筋縄ではいかなかった。だからこそ、よりサッカーファンの耳目を集めた。ベッカムはW杯まで8週間前の、CLのデポルティボ・ラ・コルーニャ戦で、アルゼンチン人選手のタックルを受けて、右足の第二中足骨を骨折。「僕の足の骨は、どの話題よりも世間の注目を浴びた」(ベッカム)。日本でも酸素カプセルでの治療など、イングランドだけでなく世界中の話題となった。
ベッカムはどうにか骨折から復帰するも、埼玉で行われたグループリーグの初戦のスウェーデン代表戦は1−1で引き分けてしまった。そして札幌で迎えた2試合目が、アルゼンチン代表との再戦だった。何としても勝たないといけない試合で、キャプテンマークを付けたベッカム自ら、前半44分にPKを決めて1−0で勝利した。
4年前のW杯での「屈辱」を、再びW杯で晴らした瞬間となった。イングランド代表は、準々決勝でブラジル代表に敗れたが、02年W杯はベッカムにとって「個人的なストーリーに、信じられないほど、完璧なエンディングをもたらした」大会となった。
記録よりも記憶に残り続ける
それでもベッカムは、W杯において、胸のすくようなリベンジを果たし、記録ではなく記憶に残る選手として世界中のサッカーファンの心に刻まれている。
書籍紹介
お気に入りの写真150枚余りとともにサッカー人生を振り返る最後の自伝。日本語版が遂に登場。「DAVID BECKHAM」 【株式会社日之出出版】
「僕は、もう他に自伝を書こうとは思わない。その代わりに、自分自身のサッカー人生で見てきたことや、その時々に感じたことを書いておきたいと思ったんだ」
この言葉から始まる本書は、世界中のファンに歓喜をもたらし、時に落胆させたベッカムのサッカー人生を、自身のお気に入りの写真150枚余りとともに振り返る最後の自伝である。