“勝負強い”南米の強豪コロンビア 日本に付け入る隙はあるのか?

川端暁彦

日本戦はメンバー交代の可能性も

日本戦ではメンバーを変更する可能性が高い。先発する場合、若くて勢いのあるキンテーロは要注意だ 【写真:Action Images/アフロ】

 日本とギリシャの試合結果(0−0)を受けて、最終戦を待たずにラウンド16への進出が確定したコロンビア。よって、コロンビアにとって日本戦は首位突破を懸けてのゲームとなるが、ギリシャ戦を3−0で勝っている得失点差の貯金もあるため、負けても首位通過の可能性が残る状況だ。故障を抱える選手を休ませるのはもちろん、がらりとメンバーを入れ替えてくる可能性もある。日本にとっては、相手の戦意を含めてどうにも読みづらいゲームとなった。

 最終ラインの要であるジェペスは、この試合で太腿を強打している。恐らく打撲傷だが、38歳という年齢を考えてもここは無理させずに休ませてくるのではないか。単なるDFとしても優秀な選手だが、周囲に対する影響力・統率力で抜きん出た存在感を持つこの男。もしも抜けてくれるならば、日本にとって率直に言ってありがたいところである。

 入れ替わるという意味では、トップ下に21歳のキンテーロが先発してくることもありそうだ。流れるようなボールタッチを見せるテクニシャンは途中出場で存在感を出している。重要度の下がったこの試合で先発させ、さらなるブレイクスルーを促すといったことは十分に考えられる術策だ。こちらは先発の選手たちとも遜色ないどころか、勢いでは上回っていそうな選手で、要注意人物と言える。

ボールは持たせてもらえそうだが……

 要注意と言えば、本来の先発トップ下・ロドリゲスは、出てくるならば日本が最も警戒すべき選手だ。動きながら滑らかにボールを引き出し、一撃必殺のパスとクロス、シュートで試合を決めてくるレフティー。キンテーロが入る場合は左MFに移るのだが、サイドでもまた強烈な存在感を放つ。何とも嫌らしい男であるのだが、左で出てくるのならば、今大会で群を抜く安定感を示している右SB・内田篤人に“ロドリゲス封じ”を期待したいところである。

 日本にとって攻め勝つ必要のある試合だが、恐らくコロンビアに対しても「とりあえずボールは比較的持たせてもらえる」はず。ただ、これは速攻を得意とする彼らが張る罠でもある。ここぞというときに連動するメリハリの効いたプレッシングと、素早い攻守の切り替えは驚異的。中盤でパスを引っかけると、一気にゴール前まで運ばれてしまうリスクがあり、そこを決め切るタレントもいる。

 加えて、日本は南米勢を明確に苦手としてきたという問題もある。それはホーム以外で勝ったことがないというデータが余りにも正直に物語る。日本の個としての長所である技巧と俊敏さは欧州勢を相手にしたときのようには南米勢には通用しない。もともと南米にそうしたタイプの選手が多く、南米のDFはその対処に熟達しているからだろう。加えて彼らは日本が苦手とする試合の流れに応じた駆け引きを得手とする。ドログバ投入直後の勝負所の時間帯で試合を動かしてしまったような、ああした勝負強さが日本にとっての最大の敵だと言える。

日本代表のベストパフォーマンスを期待

 率直に言って、コロンビアは強い。グループ内で最強のチームだろう。大会全体でも上位に入る。加えて日本にとっては相性の悪いスタイルのチームでもある。ただ、ブラジルほどの層の厚さがある国ではなく、控えメンバー主体となればチーム力は自然と落ちる。仮に主力が出てきたとしても、すでにグループリーグ突破が決まった状態での試合だけに、前2試合ほどの圧倒的な集中力は見せられないだろう。付け込むスキがあるとすれば、そこになる。

 勝っても敗退の可能性がある日本だが、このまま未勝利で大会を去ってしまったのでは後世に残せるものが余りにも乏しい。まずは目前のコロンビアを退け、その一点に残された力を振り絞り、勝ち点『3』を奪い取ること。決勝トーナメントへの道は、そこに集中した結果として開ければ良し。届かずとも良しと言うわけにはいかないが、それでもこのまま何のインパクトも残せぬままに大会を去るよりは百倍マシである。このグループ最終戦で日本代表のベストパフォーマンスが見られることを、何より期待している。

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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