創造者集団でも司令塔シャビは唯一無二=W杯を彩る各国注目MF陣を紹介
機動力と技術で中盤を支配する――ガーナ
大黒柱のエッシェンはもともと“野牛”の異名を取るほど無尽蔵のスタミナと迫力ある飛び出しを誇っていたが、31歳となった現在はプレーの安定感を加えている。2006年のドイツ大会で活躍した古参の選手だが、前回はケガで出場できなかったこともあり、精神的な支柱としてチームを引っ張る気持ちが、ガーナ代表でのプレーに表れている。
ムンタリは攻撃に明確なアクセントを加えられるタイプで、ボディーバランスが高いためボールを失わずに決定的なパスに持ち込むことができる。隙があれば長めのスルーパスをFWに通す大胆不敵な選手で、エッシェンとは相性も抜群。パフォーマンスに波があるため主力の中では選手交替の対象にもなりやすいが、強豪との対戦を絶好調で迎えれば勝機を拡大させることができるだろう。
ケビン・プリンス・ボアテングはガーナでも最高レベルの攻撃タレントであり、前回大会でブレイクした1人だ。スピーディーな動きの中で正確なボール扱いができ、鋭い飛び出しを見せる。高い守備力でも貢献度は抜群だ。若くして代表引退を宣言したが、W杯予選の終盤に撤回して復帰を果たした。ケガの影響もあり連係面にやや不安を残すものの、主力の顔ぶれは4年前から大きく変わらないため問題はないだろう。
ウイングのクワドォー・アサモアはもともとボランチのポジションを本職としており、3人の誰かを欠く試合では代役を務めることができる。エマニュエル・アゲマング・バドゥは主力の選手たちに勝るとも劣らないスタミナを備えており、中盤の底で幅広く攻守を支えることが可能だ。より攻撃的なポジションではクリスティアン・アツという22歳の万能型MFがおり、出場機会を多く得られれば飛躍の大会になるかもしれない。
高いインテンシティーが波状攻撃を生む――ベルギー
中盤の要はアフロヘアーがトレードマークのマルアン・フェライニとアクセル・ビツェルのコンビだ。フェライニが積極果敢にプレスをかけ、ビツェルがそれを柔軟にカバーしながらも局面で対人戦の強さを発揮する。2列目を力強く支えながらセカンドボールを奪取し、機を見て大胆な飛び出しを見せる驚異的なコンビだ。
本来は彼らと並ぶ主力候補であるムサ・デンベレは、正確なボールさばきと高速ドリブルを併せ持つ鬼才だが、予選後にやや調子を崩して主力の座に黄色信号がともった。状態次第では彼がボランチの一角に入り、フェライニがトップ下に上がる可能性も出てくる。
トップ下で有力候補になっているのが22歳のケビン・デ・ブライネだ。もともと右ウイングを担当していたが、ウイングの候補として19歳の俊英アドナン・ヤヌザイが加わり、正確なクロスが売りのドリース・メルテンスも好調であることから、本来のポジションであるトップ下で起用される見通しが立った。
ゲームを作るよりは積極的な仕掛けやラストパスを狙っていくタイプで、しばしばFKを蹴るほど正確な右足のキックで勝負を決めることができる。チェルシー時代は出番を得られず代表でもパフォーマンスも落としていたが、移籍先のボルフスブルクで復調し、ビルモッツ監督を安心させた。
左ウイングにはエデン・アザールがおり、明確なアクセントを付けながら決定的な仕事に絡むが、ベルギーが迫力ある攻撃を発揮できるかどうかはボランチの働きにかかっている。相手との関係によってはビツェルをアンカーとしてフェライニがデ・ブライネと並ぶ形も取れるが、中盤の彼らが高いインテンシティー(プレーの強度)を維持できるかどうかが躍進の生命線となりそうだ。